研究の成果 1) 具体的内容 マレーバク及びブラジルバクの血中ステロイドホルモン及びLH、FSHの発情周期を明確にする測定技術を確立することを目的とした。 (1) プロジェステロン(P4)の測定 市販の測定キットと自作測定系による二通りの測定方法の検討を2種のバクおいて行った。 a 測定系の自作 市販抗体と市販HRP化抗原を用いて、良好なスタンダード曲線を得られるものを作成できた。 b マレーバク 市販キット及び自作測定系において、発情周期は明確にならなかった。測定用サンプルの脱脂処理も試みたが、結果の好転は認められなかった。しかし、添加回収試験で80%前後の回収率であったことや妊娠及び出産に至る、典型的なP4の動態を両手法で確認できたことから、精製などの工夫を今後行うことにより精度を高めることが出来ると思われた。 c ブラジルバク 自作測定系において、比較的良好な発情周期を示す動態が観察されたが、市販キットでは自作測定系に比べ明確な発情周期を掴む結果は得られなかった。これは、市販キットの抗体の特異性は高く、比較的複数のホルモンと交差率の高い自作測定系の抗体のほうが結果として良好であったと思われる。 (2) LHの測定系の確立 同じ奇蹄目のウマのLH及び抗体をUCLAより輸入して、LHのHRP化を行い、抗体との濃度試験等を経て良好な結果が得られた。ブラジルバクでは、P4による発情周期に合わせてLHの上昇も認められ、一定の成果を得るに至った。しかし、FSHは予算の都合で購入に至らず今後の課題となった。 2) 今後の展望 自作測定系により、ブラジルバクの血中P4の測定が順調に行えることを明確にし、LHの測定系も確立できたことで人工繁殖に必要な発情周期の把握に一定の道筋を付けることが出来たと言える。さらに、サンプルの精製手法の確立等で制度を高めて安定的で簡易な測定法を確立するための、貴重なステップと位置づけることが出来た。
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