花蓮は観賞用の植物として優れた特質を持つが、その利用は必ずしも盛んではない。その理由の一つに、利用者が望む時期に開花を誘導する技術が確立されていないことが挙げられる。花蓮の栽培方法自体は、これまでに概ね確立されているが、花芽分化に関する研究はほとんど行われていなかった。 本研究は花蓮の花芽分化が生長過程のどの段階で起こるかを明らかにすることを目的とする。本題を実施することで、花蓮の開花調整技術を開発するための鍵となる知見を得ることができると考えた。 平成20年度奨励研究費の補助を受け、光条件と花蓮の開花の関連を明らかにするための研究を行った。遮光率の異なる4種類の寒冷紗による遮光条件下ならびに非遮光条件下で、花蓮二品種(漁山紅蓮、知里の曙)を栽培し、異なる光条件の下で生育・開花状況にどの程度の差が生じるかを検討した。その結果、光量の違いにより花の数に違いが生じ、光量と開花数には、正の相関があることが明らかとなった。さらに、出蕾(水面に花蕾が現れる)から開花までの日数は、遮光率に依存しないことも示された。 以上の結果は、花芽分化または花芽の休眠打破が光量に依存して決まることを示唆している。現段階では花蓮の花芽形成がどの段階で生じているか判明していない。
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