研究概要 |
【研究目的】 農薬の大量使用、第二に連作と多量の化学肥料投入のため、土地の老朽化が進んでいる。そこで時間・空間によらない生産、狭い土地での大量生産、無農薬栽培、連作障害がない、高品質の野菜栽培が可能といった利点がある植物工場が世界中で注目されてきている。このような観点に立ち植物工場システムをさらに普及させるためには、高能率化、省資源、省エネルギーなど環境整備が重要である。ここでは人工光源として、発光ダイオード(LED)の最適照射方法を見出すことを目的とする。 【研究方法】 16、19年度に自作した植物育成装置を使用し栽培を行う。光源は三波長合成白色LEDのうち青色+赤、緑蛍光体使用発光の高出力ものを用いる。水耕栽培養液は大塚ハウス1号、2号を適量に溶かしたものを使用し、ph計、ECメータで数値をモニターし安定化を図る。栽培植物に葉菜類のステムレタスを用いる。LEDの特徴の一つである間欠照明(パルス照射)を生かし、これまでの栽培実験からパルス周期が2,500Hzの時、生育が良かったことから2,500Hzに設定し、明期比率(デューティ比10、20、40、50、70、80%)をパラメータに、連続照射の場合との生育の相違(乾物重量、栄養素、葉緑素)を調べる。栄養成分の測定にはヨウ素を用い酸化、還元反応を利用した、ビタミンCの定量測定を行う。またリアルタイムで炭酸ガス、酸素濃度をモニターする。 【研究成果】 LEDの特徴を生かした間欠照明により、明期比率が70%を超えると炭酸ガス、酸素濃度の変化が認められるようになった。さらに連続照射と生育、栄養価の点でも遜色ないことが分かった。このことから完全制御型植物工場における照明の消費電力を3割程度削減することができると考えられる。
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