本研究において我々は、ハムスターでの口内炎誘発モデルを用いてトコフェロールおよびレバミピドの口内炎治療効果を検討した。5-FU(60mg/kg)を2回投与(day0およびday2)したハムスターのチークポーチをブラッシング(day1およびday2)することで5-FU誘発口内炎モデルを作成した。トコフェロールは20mg/gの割合で白色ワセリンに混合し、口内炎発症時(day3)より1日1回連日塗布した。レバミピドは1mg/gまたは10mg/gの割合でアルギン酸ナトリウムを主原料とするフィルムに含有させ、口内炎発症時(day3)より1日1回連日貼付した。口内炎面積の経日的変化を肉眼的に観察したが、トコフェロール軟膏(20mg/g)塗布群、レバミピド1mg/g群、10mg/g群ともに口内炎治癒促進効果は認められなかった。また、Day3からDay17までの口内炎総面積(AUC)においても有意な差は認められなかった。口内炎発症にはフリーラジカルの関与が示唆されていることから、我々は抗酸化作用を有するトコフェロールの作用を検討したが、口内炎治癒促進効果は認められなかった。また、レバミピドは作用機序として、胃粘膜保護作用、損傷胃粘膜修復作用、活性酸素除去作用、抗炎症作用などを有していることから、口内炎治療薬としての臨床応用が期待されたが、今回の我々の結果は治癒促進効果に関しては否定的なものとなった。今回の検討において抗酸化作用や抗潰瘍作用を有する薬剤で治癒促進効果が認められなかった。したがって今後はさらに強力な抗炎症作用等を有する薬剤での検討ならびに口内炎予防効果の検討が必要と考えられる。
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