研究概要 |
1. 研究目的我が国では、年間1000名近くの人命が水難事故により失われている。プールに比べ、自然環境下での水難事故発生率が高い。本研究目的は、身近な河川でより安全に親水活動が出来るよう汎用性に優れた学習プログラムを作成し指導効果を検証することにある。 2. 研究方法カエル足による呼吸確保と水中での移動に学習のねらいをおいた指導計画を作成した。学習指導計画の概要は、1時間目(以下単に(1))オリエンテーション、(2)事前測定、(3)カエル足で進む、(4)浮く、(5)潜る、(6)浮いて進むI、(7)浮いて進むII、(8)事後測定、(9)まとめである。分析は、(1)平泳ぎ、クロール、エレメンタリーバックストローク、横泳ぎにおける泳速度、ストローク頻度について着衣及び水着の状態での比較検討、(2)自由記述における出現率による分析から指導計画の妥当性を考究した。 3. 研究成果 (1) 25Mの平泳ぎの泳速度は、着衣(0.55m/sec)では水着(0.72m/sec)よりも23.6%低下した。クロール(49.0%)、横泳ぎ(28.8%)の低下率は平泳ぎを上回った。 (2) 平泳ぎにおけるストローク頻度は、着衣(0,49回/秒)、水着(0.57回/)秒であり、頻度の低下率は14.0%の低下傾向(p<.10)を示した。低下率は、クロール、横泳ぎ、エレメンタリーバックストロークよりも低かった。 (3) 自由記述の分析から、着衣状態での移動に平泳ぎが適しているという記述の出現率は、カエル足が出来る群の出現率(65.8%)が、出来ない群(45.7%)を有意に上回った。また浮く・潜る学習の有効性は、カエル足が出来る群(93,7%)、できない群(86.3%)共に80パーセント以上の出現率であった。以上から、学習プログラムの一定の効果が認められた。今後より効果的指導計画の在り方を考究したい。
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