研究課題
奨励研究
本研究は、一般住民を対象とした調査を予定していたが、少数の協力者を対象としたパイロット研究により種々の問題点が明らかとなり、一般住民を対象とした研究の実施には至らなかった。しかし、パイロット研究から連続心拍モニター法による生活活動量の評価は、「日常活動の質」を明らかにできる非常に優れた方法であることが明らかとなった。日常生活における連続心拍モニター法は、1)掃除、洗濯など日常動作による身体活動量の変化、2)日常生活における姿勢の変化、立位、座位、臥床による身体活動量の変化、3)歩行時においては、スピード、登り下りによる身体負荷量の変化を的確にモニターすることができた。さらに、メモリーされた心拍情報を解析することで、1日を通じた平均心拍数、各心拍ゾーンの持続時間から推定される身体活動量の変化と自己申告による活動状況の差を比較検討することが可能であった。一方で、一般住民に対して連続心拍モニター法を実施する場合の問題点が浮き彫りになった。先ず胸部センサーベルトの装用による「締め付け感」により、リラックスを妨げられる例があった。また、運動用に開発されたセンサーであるため、日常生活では皮膚の乾燥によって心拍モニターが中断することが少なくなかった。特に発汗量が低くなる気温の低い時期では正確なデータを得ることが難しいことが判明した。従って、一般住民の日常生活に応用するためには、装用感の改善やセンサー部の改良が必要であると判断された。しかし、連続心拍モニター法は、個人の日常的な「身体活動の質」や持続時間を客観的に評価できる方法である。今回、実際に用いることは出来なかったが、能登地震の復興地域では、被災者の身体活動の低下が懸念されていた。被災者の心拍情報は、個人に合わせた身体活動量のアドバイスを行う上で有用であると考えられた。今後、目的に合致した機器の改良を行うと同時に、災害被災地などでの支援活動にも応用が期待できる。
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Int J Toxicol. 27 Supp3
ページ: 137-147