好気的な条件だけでは観察の難しいヨーグルトの乳酸菌を例に取り、培地の種類および培養条件について検討を行った。市販のヨーグルトから乳酸菌のコロニーを分離するために、ブロムクレゾールパープル(BCP)を含む乳酸菌分離用培地(pHの低下により培地の色が青から黄色に変化する)と塩化カルシウムを含む乳酸菌分離用培地(pHの低下により培地にクリアゾーンができる)を用い、観察のしやすさを比較した。培養日数が多い場合にはBCPは色素が広がってしまいコロニーの分離が難しくなるが、塩化カルシウムのクリアゾーンを観察するためには培地作成時にシャーレに塩化カルシウムを均一に広げる技術が必要となり、実験の日程に合わせた培地を選ぶことが必要であることが確認できた。 嫌気的な条件については、アネロパック嫌気を用いたジャー培養、アネロパック微好気を用いたジャー培養、ジップロック等のビニール袋を用いた培養方法などについて検討してみたが、ジャーの中の酸素濃度を比較するための気体サンプリング方法がうまく見つからず、ガスクロマトグラフィーで数値的な裏付けを取ることはできなかった。カラムの選択についても条件が定まらず、今後の大きな課題となった。 嫌気的条件を検討する際に得られたコロニーについて顕微鏡観察を行ったが、形態的には特異なものは観察できず、塩基配列分析による同定条件の検討も至らなかったが、簡便で身近な材料を使った条件検討を継続し、より結果の見えやすい、効果的な実験方法を構築していきたいと考えている。
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