研究課題/領域番号 |
20F20333
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
唯 美津木 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (70396810)
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研究分担者 |
WONDERGEM CATERINA 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2020-11-13 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2020年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
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キーワード | SHINERS / ラマン分光 / 触媒 / 電極表面 / イメージング / XAFS / オペランド計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、SHINERSラマン分光法を立ち上げ、燃料電池カソード電極触媒反応に展開し、触媒表面の化学種の構造解析とCT-XAFS分光による金属触媒の局所構造解析を組み合わせた新しいオペランドイメージング計測を行う。酸素還元反応のための電極触媒や複合酸化物触媒の触媒反応における化学種と活性構造の関係を明らかにし、触媒活性構造や反応の可視化を行うことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、SHINERSラマン分光法とXAFSイメージング計測法を互いに相補的に用いることで、電極触媒の反応過程と空間分布の解明を目的とした。そのために、SHINERS分光法に用いるSHIN粒子の合成とそれを利用した電極触媒の合成、オペランドSHINERS装置の立ち上げ、オペランドXAFSによる電極触媒の解析を行った。 Agを用いたSHIN粒子の合成を検討し、15 nm程度のAu粒子を核として粒径のそろったAgナノ粒子を調製した。その表面に3-アミノプロピルトリメトキシシランを用いてシリカ薄層を作成した。Ag 粒子表面を覆いピンホールのないSHIN粒子の合成条件を様々検討し、ピンホールのないAg SHIN粒子を合成した。一方、合成した粒子は、安定性がAu SHIN粒子と比較して低いことがわかり、試料の保存ができないことが分かったため、Au SHIN粒子を新たに合成した。ローダミン6Gのラマンスペクトルでは、強い表面プラズモン共鳴が観察された一方、ピリジンを吸着させてもピリジン由来のラマンシグナルは観測されず、Au表面をシリカが完全に覆ったピンホールのない良質なSHIN粒子が合成できていることを明らかにした。 このAu SHIN粒子を用いて、Pt触媒の担持を検討し、市販のPt/CやPt粒子を担持した触媒系を作成した。また、オペランドEC-SHINERS装置とセルの立ち上げを行い、電位をかけた条件でPt触媒-SHIN粒子の測定ができる測定環境を立ち上げた。SO2分子を触媒被毒剤として用い、Pt触媒表面をSO2で被毒した後、電気化学セルの電位を変化させて、表面の化学種を変化させ、SHINERSスペクトルを測定した。PtとSHIN粒子の接地条件を検討し、より良質なSHINERSスペクトルが得られる試料調製を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したAg SHIN粒子については、本研究において新たに合成を行ったところ、目的とする化合物が合成できたが、安定性が低く電極反応実験に用いることが難しいことが分かったが、Au SHIN粒子を新たに合成し、それを用いてPt触媒のオペランドSHINERS測定を実現した。当初予定していた研究計画は進められており、新たな知見も得られ、今後これらの成果を発展して、Pt電極触媒の被毒機構の解明を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
外国人特別研究員の就職(特任助教)が決まり、本研究費課題は終了した。得られた知見を基に、代表者と共同研究者が研究を継続しており、本課題において作成したAu SHIN粒子およびオペランドEC-SHINERS測定システムを用いて、電極触媒の被毒種の同定を進めている。オペランドXAFSイメージングと連携して、触媒被毒種が電位に対してどのように反応して脱離していくか、触媒回復過程の解明を進める。
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