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メッセンジャーRNAデリバリーのための高分子ミセル型ナノキャリアの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20F20369
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分外国
審査区分 小区分90120:生体材料学関連
研究機関公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター)

研究代表者

片岡 一則 (2021-2022)  公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, センター長 (00130245)

研究分担者 VAN GUYSE JOACHIM  公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), その他部局等, 外国人特別研究員
受入研究者 片岡 一則 (2020)  公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, センター長 (00130245)
外国人特別研究員 VAN GUYSE JOACHIM  公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2020-11-13 – 2023-03-31
研究課題ステータス 交付 (2022年度)
配分額 *注記
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2020年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードmRNAデリバリー / ポリプレックスミセル / ターゲッティング / 高分子合成 / ブロック共重合体 / ポリペプチド / ポリ(2-オキサゾリン)
研究開始時の研究の概要

本研究は、ブロック共重合体を利用してmRNA治療薬を全身投与で標的組織に送達できるドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発することを目的とする。まず、mRNA送達用DDSの生体内環境における安定性を向上するための新規双性イオン親水性ポリマーを合成する。次に、得られた双性イオン親水性ポリマーの化学構造がmRNA送達用DDSの機能に及ぼす影響を評価することで、本DDSを全身投与するに当たって解決すべき物理化学的な課題や生化学的な課題を明らかにするとともに、これらの課題を解決する。本研究で得られる知見は遺伝子送達システムの分野に多大な影響を与えるものであり、遺伝子送達システムの臨床展開にも大きく貢献すると期待される。

研究実績の概要

本研究では、ブロック共重合体とmRNAから得られるポリプレックスミセルの親水性コロナの構造がポリプレックスミセルのmRNA送達能に及ぼす影響を明らかにする。令和2年度は、ブロック共重合体の重合に用いる開始剤、モノマー、および重合後の修飾に用いる分子群を集中的に合成した。次に、末端にアリル基を持つポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)に対する末端修飾と、側鎖にエステルを持つポリ(2-オキサゾリン)の側鎖修飾を検討した。後者の側鎖修飾は、エステル基に対するアミノリシス反応で概ね効率よく進めることができた。ただし、アミノ基を持つスルホベタインによる修飾については、溶解性が問題となり単純には反応が進行しなかったため、代替ルートで目的物を得た。一方で、前者の末端修飾については、チオール-エン反応を試みたが、反応は効率的に進まなかった。熱や光による反応開始条件の最適化も行ったが、修飾効率は50%未満に留まった。そのため、ポリ(2-オキサゾリン)の末端修飾は、ペンタフルオロフェニル基に対するパラフルオロ置換反応を利用することにした。その結果、チオール、アジド、およびアミンを効率よく修飾することに成功した。他に、令和3年度の研究に向けて、in vitroやin vivoにおける機能評価の準備を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ポリ(2-オキサゾリン)の末端修飾で採用する予定だったチオール-エン反応がうまく進行せず、熱開始反応と光開始反応の双方の最適化に時間がかかったうえ、結局いずれの検討も副生成物を防ぐに至らなかった。また、反応性が高いアリルエーテル鎖を導入して反応を試みたが、逆に修飾率は低下し、カップリングによる副反応が観察された。以上のことから、ポリ(2-オキサゾリン)の末端修飾にチオール-エン反応は適さないと結論付けざるを得なかった。とはいえ、本研究を進めるためには、ポリ(2-オキサゾリン)の末端に対するリガンド分子の導入やNCA重合の開始点の導入が必要であるため、その他の末端修飾方法を探す必要があった。末端修飾法の条件としては、逆末端のアジド基と側鎖のエステル基と反応しない方法を探索する必要があり、そのために多くの時間を要した。最終的には、ペンタフルオロフェニル基に対するパラフルオロ置換反応を利用する代替修飾法で目的が達成できることを示した。

今後の研究の推進方策

互いに影響を及ぼさない3つの反応(SPAAC、パラフルオロ置換、エステルアミノリシス)を利用して、mRNA内包ポリプレックスミセルの構築に必要なブロック共重合体を合成する。そして、得られたブロック共重合体からmRNA内包ポリプレックスミセルを調製し、その構造解析や生物学的特性の評価を行う。具体的には、まず、ポリプレックスミセルの粒径や表面電荷などの物理化学的特性とブロック共重合体の化学構造の関係を調べる。また、蛍光標識したポリプレックスミセルを用いた細胞内取り込みの評価やタンパク質発現効率の評価を行う。これらの評価はHuh7細胞やHela細胞を用いて実施する。さらに、ウシ胎児血清中やポリアニオンを含む緩衝液中におけるポリプレックスミセルの安定性を評価する。これらのin vitro評価によって、in vivo評価の計画に必要なポリプレックスミセルの構造-機能相関の情報が得られると期待される。他に、ポリプレックスミセルの親水性コロナの構造が、親水性鎖末端に結合するリガンド分子の標的親和性に及ぼす影響を表面プラズモン共鳴法により評価する。続いて、実験動物を用い、ポリプレックスミセルの静脈内投与後の血中滞留性や体内分布を評価する。血中滞留性は、ポリマーまたはmRNAいずれかもしくは両方に蛍光標識を施したポリプレックスミセルを用いて蛍光強度の追跡により評価する。体内分布は、ポリプレックスミセル投与後に対象臓器を回収し、その粉砕液の蛍光強度を測定することで評価する。また、各臓器におけるmRNAの翻訳活性について、蛍光タンパク質をコードしたmRNAを用いて評価する。尚、本年度中に、パラフルオロ置換反応を利用したポリ(2-オキサゾリン)の末端簡易修飾法に関する成果を論文にまとめる予定である。

報告書

(1件)
  • 2020 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 備考 (2件)

  • [備考] 公益財団法人川崎市産業振興財団 ナノ医療イノベーションセンター HP

    • URL

      http://iconm.kawasaki-net.ne.jp/

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
  • [備考] 公益財団法人川崎市産業振興財団 ナノ医療イノベーションセンター 片岡・喜納ラボ HP

    • URL

      http://iconm.kawasaki-net.ne.jp/kklab/index.html

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書

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公開日: 2020-11-16   更新日: 2024-12-25  

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