研究課題
特別研究員奨励費
老化は、骨格筋のエネルギー産生の低下や筋肉量の減少を引き起こす。骨格筋では、1000以上のO-GlcNAc化タンパク質が同定されており、OGTによるPGC-1αのO-GlcNAc化はPGC-1αを安定化し、ミトコンドリア遺伝子の転写を促進することで筋萎縮を抑制し、エネルギー代謝を向上する。一方、骨格筋におけるEOGTによる細胞外O-GlcNAc化の役割は不明である。EOGTはNotch受容体をO-GlcNAc化することで、リガンド依存的なNOTCHシグナルを活性化することが知られている。本研究では、Notch1のO-GlcNAc修飾による筋運動能力の低下のメカニズムについて検証する。
本研究では、当研究室で見出した細胞外O-GlcNAcの新規な役割を解析することを目的とした。これまでの研究で、内皮細胞におけるO-GlcNAcの役割が示唆されていた。EOGTは、小胞体におけるO-GlcNAc修飾を触媒する酵素である。この酵素は、上皮成長因子(EGF)様ドメインを特異的に修飾する。NOTCH受容体の細胞外領域は、主に多数のEGFドメインが繰り返した構造をとっている。Notch1の場合、36個のドメインのうち20個以上のEGFドメインがO-GlcNAcで修飾される可能性がある。したがって、NOTCHはO-GlcNAcで修飾される代表的な分子であり、生理的に重要なEOGTの基質となると考えられている。実際、EOGTの変異マウスは、NOTCHシグナル関連遺伝子のloss of function型変異を持つ動物に類似した表現型を示す。しかし、内皮細胞以外におけるEOGTの作用やNOTCH受容体との関連性は、まだ不明である。共同研究者のPeiwen Loは、Eogt欠損マウスとC2C12細胞のEogt変異体の表現型を解析することで、上記の問題を解決しようと取り組んだ。変異マウスにおける筋力の低下とC2C12細胞における筋分化の異常の分子基盤として、これまでに血管内皮細胞で解明されたNOTCH受容体を解するメカニズムとは異なる、PAMR1を含めた新たな基質候補タンパク質を介した分子機構が存在することが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件)
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