研究課題
特別研究員奨励費
遠隔臓器への転移はがん患者の最大の死因であり、がん転移の制圧は重要な課題である。特に骨は代表的な転移標的臓器であり、骨転移後の期待余命は低く予後不良を齎す。近年、免疫チェックポイント阻害剤の登場により、がんの治療体系が大きく変革する一方、未だ骨転移に対しては効果が低くその原因も不明である。最近、破骨細胞分化必須因子RANKLの中和抗体と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法が骨転移に対して有効であることが明らかとなり、RANKLの意外ながん免疫学的機能が指摘されつつある。そこで本課題ではRANKLによる抗腫瘍免疫応答の制御機構を明らかにし、骨転移に対する新規治療法の分子基盤の構築に取り組む。
ヒト骨転移巣のシングルセルRNA-seqデータを再解析することで、正常骨髄および骨転移巣微小環境内の免疫細胞亜集団を調べ、RANKやRANKL発現を指標に、骨転移巣病態に関与するRANKL発現細胞とRANK発現細胞の候補を選定した。候補細胞特異的なRANKL欠損マウス、およびRANK欠損マウスを用いてマウス乳がん細胞株EO771、メラノーマ細胞株B16F10の左心室移植によるがん骨転移モデルマウスを実施し、免疫チェックポイント阻害剤の効果を検討することで、骨転移巣の抗腫瘍免疫応答に関わるRANKL産生細胞とRANK発現細胞の特定に取り組んだ。さらにEO771及びB16F10がん骨転移モデルマウスにおいて、抗RANKL抗体単剤、免疫チェックポイント阻害剤単剤、および両者の併用療法による治療効果を比較検討し、各条件における骨転移巣部位のCD8 T細胞、CD4 T細胞、NK細胞の活性化状態・サイトカイン産生を解析することで、RANKL抑制による抗腫瘍免疫応答の変化を明らかにした。最終的に、免疫チェックポイント阻害剤投与および非投与マウスの骨転移巣、および正常骨髄から、RANKL発現免疫細胞を単離し、網羅的遺伝子発現解析を実施することで、免疫チェックポイント阻害剤がRANKL発現細胞に与える影響を遺伝子レベルで明らかにし、がん骨転移におけるRANKLによる抗腫瘍免疫応答制御の分子機構を解析した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 6件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 11件) 図書 (2件) 備考 (2件)
International Immunology
巻: 34 号: 1 ページ: 45-52
10.1093/intimm/dxab098
Cytokine
巻: 143 ページ: 155521-155521
10.1016/j.cyto.2021.155521
J Clin Invest.
巻: 131 号: 6 ページ: 1-8
10.1172/jci143060
巻: 33 号: 12 ページ: 673-678
10.1093/intimm/dxab057
Immunological Reviews
巻: 302 号: 1 ページ: 68-85
10.1111/imr.12985
Nat Metab
巻: 2 号: 12 ページ: 1382-1390
10.1038/s42255-020-00318-y
Journal of Bone and Mineral Metabolism
巻: 39 号: 1 ページ: 13-18
10.1007/s00774-020-01191-1
Frontiers in Immunology
巻: 11 ページ: 620894-620894
10.3389/fimmu.2020.620894
Nature Communications
巻: 11 号: 1 ページ: 3769-3769
10.1038/s41467-020-17557-y
Nature Immunology
巻: 21 号: 10 ページ: 1172-1180
10.1038/s41590-020-0756-8
Cell Rep
巻: 32 号: 10 ページ: 1-10
10.1016/j.celrep.2020.108124
http://www.osteoimmunology.com/index.html
http://www.osteoimmunology.com