研究課題
特別研究員奨励費
3次元の磁気流体力学シミュレーションの手法で現実的な星間媒質における超新星残骸の形成および進化に対する研究を行う。これまでの研究の多くは爆発によって生成した衝撃波が密度が一様に分布した非現実的な星間空間を伝播してく状況を考えるか、現実的な密度非一様性を含んではいても局所的な計算に留まっていた。本研究では現実的でかつ大域的なシミュレーションを行うことによって、観測と直接比較することが可能な超新星残骸のシミュレーションデータを取得し、実験や観測事実の理解の深化を目指す。
超新星残骸は地球に降り注ぐ宇宙線と呼ばれる高エネルギー粒子(核子と電子)の加速器であると考えられているが、理論的にも観測的にもまだ十分に検証されているわけではない。本研究では、現実的な星間物質の構造を考慮することで宇宙線の加速器である超新星残骸の進化に関する研究を行った。星間媒質は遷音速の乱流状態にあることから、コルモゴロフスペクトルを持つ密度揺らぎを超新星による爆風が伝播する媒質として設定した。超新星残骸の膨張はX線の輝線放射の線幅の広がりから観測的に測定することが可能であるが、近年のX線観測の結果は、その膨張速度の動径構造が一様な星間媒質を衝撃波が膨張した時のそれとは異なっていることを示していた。昨年度までの研究によって、非一様な星間媒質から形成される超新星残骸のシミュレーションは実行済みであるので、そのデータを用いてX線の擬似観測を行った。その結果、密度の非一様性と衝撃波の相互作用によって発生する乱流が、超新星残骸からのX線放射構造に影響を与え、観測と無矛盾なX線放射線幅の動径構造が再現されることが明らかとなった。この成果と昨年度の成果は、合わせて査読付き欧文誌である Astronomy & Astrophysics に投稿し、受理、出版されることとなった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
Astronomy & Astrophysics
巻: 672 ページ: A194-A194
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