研究課題/領域番号 |
20H00001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田口 茂 北海道大学, 文学研究院, 教授 (50287950)
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研究分担者 |
武内 大 立正大学, 文学部, 教授 (10623514)
宮園 健吾 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (20780266)
吉田 正俊 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 特任准教授 (30370133)
田中 彰吾 東海大学, 文化社会学部, 教授 (40408018)
山下 祐一 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第七部, 室長 (40584131)
谷 淳 沖縄科学技術大学院大学, 認知脳ロボティクス研究ユニット, 教授 (60425634)
富山 豊 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60782175)
西郷 甲矢人 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (80615154)
西尾 慶之 地方独立行政法人東京都立病院機構松沢病院(臨床研究室), 精神科, 医師 (90451591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2022年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2021年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2020年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | 意識 / 現象学 / 哲学 / 神経科学 / ロボティクス / 圏論 / 精神医学 / 数学 / 精神疾患 / アフォーダンス / 時間 / 意識変容 |
研究開始時の研究の概要 |
「意識とは何か」という問題は、現代において哲学と科学と医療にまたがる大問題である。本研究の目的は、この大問題に、以下の三つの方法を組み合わせてアプローチすることである。①第一に、「現象学」を一つの理論的な核として、哲学・精神医学・神経科学・ロボティクス・数学の密接な学際的共同研究を行う。②第二に、「意識変容」という正常な意識状態からの逸脱に焦点を当て、変容した意識と正常な意識とを対比することにより、意識の本質的特性に迫る。③第三に、「圏論」という数学的理論を用いて、上述の諸研究から浮かび上がる関係論的構造を分析する。これにより、意識研究を一段新しい次元にもたらす新たな理論的枠組みを提起する。
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研究成果の概要 |
本研究は、哲学者・数学者・神経科学者・精神医学者・ロボティクス研究者の直接的で緊密な連携により、人文科学・自然科学・数理科学の知見と方法が研究の構想段階から一体となって行われる学際的な意識研究の新しいスタイルを生み出すことができた。これにより、現象学的な時間意識の構造を、数学の圏論で用いられる「モノイド」の概念によって形式化することができたほか、環境の中で何かが「目立つ」ことを意味する「サリエンス」を、一種の「アフォーダンス」として理解し、これに精緻な分析を加えることにより、精神病症状の「異常サリエンス仮説」をアップデートするという、精神医学にとって高い意義をもつ成果を生み出すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学際的研究は、単なる分業によって行われることも多いが、本研究では、研究の着想段階から、緊密な議論によって人文科学と自然科学・数理科学が融合した研究を実現しうるということを示した。この点で、新次元での異分野融合研究の展開に先鞭をつけたと言える。こうした研究スタイルにより、従来の学問分類からは位置づけの難しい独創的な成果が生み出された。二つの主要論文は、哲学・数学・神経科学・精神医学・心理学などに跨がった研究となっており、従来の学問間の境界を大幅に乗り越えた成果となっている。こうした研究は、人間の心・意識という多分野の学問が交差する現象に対して学問的に精緻にアプローチする新しい方法を示している。
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