研究課題/領域番号 |
20H00002
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本堂 毅 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60261575)
|
研究分担者 |
米村 滋人 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40419990)
尾内 隆之 流通経済大学, 法学部, 教授 (40460026)
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
鈴木 舞 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (70761633)
平田 光司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, ダイヤモンドフェロー (90173236)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
44,720千円 (直接経費: 34,400千円、間接経費: 10,320千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2022年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2021年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2020年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
|
キーワード | 科学技術社会論(STS) / コンカレント・エビデンス / 不定性 / 専門知(感染症、災害、芸術) / STS / 専門知 / ELSI / 生命倫理学 |
研究開始時の研究の概要 |
専門的知識は,私たちの社会の中で重要な役割を果たしています.これは科学に限らず,経済学や法学,哲学や芸術学など,人文社会科学と呼ばれる分野の知識にも当てはまります.しかし,これまで科学については,その専門的知識の性質や限界がよく研究されてきたのですが,人文社会科学と呼ばれる分野の知識については,殆ど研究がありませんでした.そこで,人文社会科学の専門的知識についても,科学の専門的知識とどのような点で同じ性質を持ち,どのような点で異なる性質を持つのかを調べます.これによって,私たちが様々な判断をするときに,人文社会科学の専門的知識をどうやったらより有効に活用できるかを明らかにしたいと思います.
|
研究実績の概要 |
社会は専門的知見によって支えられている.科学技術に留まらず,社会科学,人文科学など幅広い知に支えられ,その適切な活用なしに理性と秩序ある社会はなり立ち得ない.実際,新型コロナウイルスのパンデミクスの中,人文社会科学の専門知も,社会的意思決定の場面で重用され,またメディアで意見が求められる場面も増えている.これまで,専門知にはそれぞれの分野や研究者毎に方法論的な適用限界があることが前提とされ,専門的知見としての発信は,その適用限界の範囲で行うべきものとされ,制度設計に反映されてきた.しかし,新型コロナ下でELSI論を標榜する生命倫理学者,社会学者などが社会的意思決定に直接関与する場面では,その専門分野の方法論の適用限界が全く明示されず,人文社会科学の枠をも越えた発信が,あたかも「専門的・学術的知見」として社会に発信され,政策に直接関与する場面も散見された.「専門知」であるのに,どこまでが専門的知見なのか,その範囲が不明となる状況は「専門」という語と矛盾している.また,専門知には方法論的な適用限界があることを前提として設計されてきた既存の社会制度とも齟齬を起こすことが明らかになった. 人文社会系の一部分野に見られるこのような状況が日本特有のことなのか,海外でも同様の状況であるのか等は,今後の研究を要する. また,裁判において,人文社会系を含む全分野の専門知を適切かつ迅速に活用する手法がオーストラリアで開発されている.コンカレント・エビデンスと呼ばれるこの手法について現地調査を行った.その上で,社会的意思決定では,専門知の適用限界を踏まえた上で,複数分野の知見を活用することが重要であり,コンカレント・エビデンスがこれを可能にしていることを,Leiden 大学 Centre for Science and Technology Studies (CWTS) の公式ブログにて公開した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響によって,海外調査を行う時期が遅れたため,その海外調査を元にした解析等に遅れが生じている.
|
今後の研究の推進方策 |
人文社会系の一部分野の専門知と自然科学系の専門知の間に,専門知としての適用限界が明らかかどうか,という点で,大きな相違があることが明らかになった.この相違は,「専門知には適用限界がある」ことを前提とした,旧来の社会制度設計と衝突することから,解明が急務な課題である.この相違が日本固有のものなのか,世界的なものなのかは重要な課題であるため,今後,国際研究を通して,解明を行っていく予定である.
|