研究課題/領域番号 |
20H00004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市川 裕 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (20223084)
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研究分担者 |
桑原 久男 天理大学, 文学部, 教授 (00234633)
上村 静 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (00447319)
小堀 馨子 帝京科学大学, 総合教育センター, 准教授 (00755811)
土居 由美 神奈川大学, 国際日本学部, 非常勤講師 (50751038)
勝又 悦子 同志社大学, 神学部, 教授 (60399045)
長谷川 修一 立教大学, 文学部, 教授 (70624609)
葛西 康徳 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (80114437)
小池 寿子 國學院大學, 文学部, 教授 (80306901)
江添 誠 神奈川大学, 国際日本学部, 非常勤講師 (80610287)
牧野 久実 鎌倉女子大学, 教育学部, 教授 (90212208)
高久 恭子 (中西恭子) 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (90626590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
40,690千円 (直接経費: 31,300千円、間接経費: 9,390千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2022年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2021年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2020年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | 生きられた宗教 / 宗教学 / 古代ローマ宗教 / 一神教概念 / 考古学 / 宗教と法 / 生きられた古代宗教 / 古代交易都市 / ラビ・ユダヤ教 / 古代史 |
研究開始時の研究の概要 |
キリスト教が出現する帝政ローマ時代は、世界宗教史の流れの中で、一神教が出現して世界展開する時代である。その宗教史理解において、キリスト教神学や進化論的な近代宗教学理論の影響が強いために、一神教の方が多神教より優れた宗教だというある種の価値判断が従来の歴史認識には残存し、また、個別宗教だけを取り上げる傾向が強かった。そこで本研究は、より公正で客観的な理解を目指して、当時発展を遂げた都市の住民の立場から、彼らの日常的な目線に立って彼らにとっての宗教的需要と欲求に当時の宗教はどう答えたか、という研究視点から、当時活動していたキリスト教、ユダヤ教、密儀宗教、ローマの公的宗教を総合的に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的が具体性に欠ける点を指摘されたので、多様な分野の分担者・協力者が共有できるような研究方法と目的を明確にすることが、第2年目の大きな課題となった。「一体感を持てる内容」を目指して、研究発表会を年4回企画し、その上に、リュプケ著『パンテオン』の内容分析の理解の増進に努めた。 明確になったのが、第1に、本研究は、3つの関連する研究分野が重層的に関わっていること。すなわち、ガリラヤ地域の発掘調査・西暦1~2世紀の古代ユダヤ史・リュプケの古代ローマ宗教論である。メンバーはそれを意識して問いを組み立てること。第2に、対象地域で文化の重層化が起こっていること。具体的には、前4世紀のアレクサンドロスの東方遠征と都市建設によるギリシア文化の展開、それと並行して交易都市におけるユダヤ移民社会の拡大、その上に、前2~1世紀にはじまるローマ帝国・パルテイア王国の支配と交易都市の繁栄である。第3に、エルサレムを本拠としたユダヤ社会がローマ帝国との2度の戦争で領土と国家的存立を失い、離散状態になるのだが、まさにこのとき、新たなタイプの個人的宗教が領土を越えて頭角を現し、交易都市における多宗教・多民族混淆状況、いわゆる多神教集団と一神教集団の共存の出現である。 こうした宗教文化状況を記述するのが生きられた古代宗教の課題であり、研究内容はおおよそ次の4つに分類できる。第1に、神殿時代の会堂構造と3世紀以降のガリラヤ会堂の構造の明らかな違い。第2に、領土や土地との関係を越えて存立する新宗教としての、ラビ・ユダヤ教とキリスト教の組織の特徴の把握。第3に、交易都市における多様な宗教文化の記述。都市とコイン、宗教施設と図像(宗教と芸術)、第4に、アウグストウス期の宗教倍増やアカデメイア、オリンピック、ローマ法とユダヤ法の関係、都市と宗教組織など、哲学と学問と教育をめぐる文化状況の記述である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で予定した海外調査を繰越したり、あるいは方針の転換を行うことによって、1年繰越したことの遅れは克服され、各自の課題発見が前進したことで、科研研究2年目の所期の目的は果たされたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
翻訳作業と内容理解、宗教研究の方法論の精緻に向けて、残りの2年間で個々の研究の精度高めることが求められる。なかんずく、ドイツのリュプケ教授とその研究グループとの日欧の研究会合が計画され、2023年1月から開始されることに伴い、日本人が前提する宗教概念の理解を再考する機会となることが期待できる。
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