研究課題/領域番号 |
20H00008
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 国際仏教学大学院大学 |
研究代表者 |
落合 俊典 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10123431)
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研究分担者 |
本井 牧子 京都府立大学, 文学部, 教授 (00410978)
赤尾 栄慶 国際仏教学大学院大学, 日本古写経研究所, 研究員 (20175764)
杉本 一樹 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 文化遺産部, 客員研究員 (30809356)
宮崎 健司 大谷大学, 文学部, 教授 (50239381)
池 麗梅 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (50449360)
上杉 智英 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部美術室, 研究員 (50551884)
林寺 正俊 北海道大学, 文学研究院, 教授 (60449361)
藤井 教公 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (70238525)
三宅 徹誠 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80449363)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,170千円 (直接経費: 30,900千円、間接経費: 9,270千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2020年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | 奈良朝勅定一切経 / 漢文仏教テクスト / 奈良写経検索システム / 正倉院聖語蔵 / 平安鎌倉一切経 / 正倉院聖語蔵五月一日経 / 光明皇后願経五月十一日経 / 金剛場陀羅尼経 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国・朝鮮・日本など東アジア地域の仏教が依拠してきた漢文仏教テクストの集成である「一切経」のうち、「奈良朝勅定一切経」に焦点を当て、それが我が国の写本一切経や各種の版本一切経等を含めた漢文仏教テクスト全体において如何なる地位を占め、如何なる意義を担っているのかを総合的に解明することを目的とする。 「勅定経」がテクストの系譜という点で後の平安・鎌倉時代の写本一切経に継承されており、またみずからは同時代の唐で成立した写本一切経を継承しているという「勅定経」の地位を明らにする。 「勅定経」を主体とした奈良写経のデータベースを新たに創出し、それによって漢文仏教テクストの資料的基盤を再構築する。
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研究実績の概要 |
当初の計画に従って、調査・研究を行った。 共同研究会は7月8日に行い三宅徹誠研究分担者は「藤原夫人願経と勅定一切経ー『瑜伽師地論』巻第九十九を中心にー」、青木佳伶科研特任研究員は「五月一日経『注涅槃経』巻第四(四天王寺本)」と題して発表した。この四天王寺本は新発見の五月一日経である。11月11日には東方学会と共同で「日本古写経の特質」と題してをシンポジウムを開催した。落合俊典、高田時雄、杉本一樹、林寺正俊の4名が発表。落合は「日本古写経の新たな位置づけ」と総論を述べ、各論では「日本古写経の特質」の題で発表。高田は「大唐西域記の唐代写本」、杉本は「聖語蔵経巻 概観と学術上の意義」、林寺は「二種の光明皇后願経とその本文系統」と題して発表し、会場参加者と併せて討論を行った。 調査では智積院、石山寺、五島美術館、京都国立博物館等の古写経を調査した。奈良朝勅定一切経データベースでは引き続き書誌データを入力し内容の充実を図った。 図書では日本古写経善本叢刊第十一輯『国宝 金剛場陀羅尼経』(国際仏教学大学院大学附置日本古写経研究所刊 2024年3月25日)が刊行された。この中には赤尾栄慶「国宝『金剛場陀羅尼経』解題」、杉本一樹「五月一日経『金剛場陀羅尼経』解題」、落合俊典「国宝 『金剛場陀羅尼経』訓読」、同「『金剛上味陀羅尼経』解題」訓読があり、研究篇として落合俊典「日本古写経『金剛場陀羅尼経』(国宝本・五月一日経本・七寺一切経本ん・興聖寺一切経本)について」等の論考が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍がほぼ終焉し、諸活動が旧に復したことから寺院、博物館、図書館等の調査が順調に推移したことが大きい。また、従来はこの分野の研究が史学や博物館学からの研究に限られていたが、仏教学の文献学上からの研究が進展し、種々の新知見がぞくぞく得られていることが大きい。 本科研が推進している奈良朝勅定一切経データベースは、日本古写経データベースと連携していることから相乗効果が得られたのだと推測する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究実施計画 令和6年度(2024)は、本科研の最終年度にあたり、奈良朝勅定一切経の総括的報告書が出来上がるよう鋭意努力していく。 奈良朝朝定一切経の調査では智積院、五島美術館、根津美術館、九州国立博物館、石山寺などの調査を行う。石山寺は昨年度に引き続き調査を依頼するが、NHKの大河ドラマの影響で実施日が後半にずれ込む可能性もある。また、すでに立ちあがっている「奈良朝勅定一切経データベース」の書誌情報入力の推進と翻刻データの入力作業に注力する。 奈良朝勅定一切経の本文研究においては、奈良朝勅定一切経と後世の平安鎌倉写経群との密接な関連が相当数報告され実証できる巻数が増大している。これは昨年も述べたが大学附置の日本古写経研究所の日本古写経データベースが充実してきたからである。現在は約1万1000巻を越えそれらがみな奈良朝勅定一切経との比較考証を容易にさせている。これらを整理すると4項目になる。 ・①共同研究会の開催:共同研究会を9月9日に実施。発表者5名。②奈良朝勅定一切経を代表する五月一日経の現存目録を作成すること。③展観図録等の蒐集:昨年度の継続。④報告書の編集刊行。報告書はデータベースに関することおよび研究代表者の巻頭論文、9名の研究分担者の論文を掲載し刊行する。このように研究代表者と9名の研究分担者がそれぞれの専門領域に応じて文献群および関連資料を分担して個別研究を推進実施する。その連携を効率的に図るために随時本科研の特任研究員が連絡のプラットフォームとなって研究課題を強力に推進していき、最終年度を有意義な年度としていきたい。
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