研究課題/領域番号 |
20H00011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中川 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70227750)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2020年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 音韻類型論 / カラハリ盆地言語帯 / Kalahari Basin / Khoisan / コイサン / 言語地域特徴 / phonology / phonetics / phonological typology / 音韻論 / カラハリ / areal typology / 類型論 / 地域類型論 / 言語類型論 |
研究開始時の研究の概要 |
人類の言語音の多様性を探求する研究分野「音韻類型論」は、本来、言語音の普遍的傾向と言語音の限界範囲の両方の解明に向かうべきものだ。ところが、これまでの音韻類型論は前者が重視されすぎて、後者に関わる「言語音の限界縁はいかなるものか?」と「その限界縁をなす稀少特徴はどう説明できるか?」という重要問題をなおざりにしてきた。本研究は、これらの問題に取り組む。そのために音韻類型論に3つの新手法を導入する:第1に、めずらしい音韻特徴を重視する新接近法を採用する。第2に、コイサン諸語の精査によって言語音の複雑度の限界範囲の解明に挑む。第3に、音素目録・語彙・テキストの3基軸データセットによる頻度調査を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度の主要な実績は、(1) ふたつの重要な論文が本研究課題の成果として刊行されたこと、(2) 研究代表者単著による論文の刊行が決定し、査読も終わって最終版を作成中であること、(3) カラハリ・コエ諸語の語彙データベースの敷衍と整備にもとづいてグイ・ガナ語辞書(刊行前バージョン)が印刷製本されグイ・ガナ人コミュニティーに配布されたこと、(4)同諸語のテキスト・コーパスの拡大・編集、(5)研究代表者によるボツワナ・ハンシー県における現地調査とテキスト資料収録、(6)標本言語の個別的な調査トピックの開拓に要約できる。 (1)は、プロジェクトメンバーによる共同執筆による論文のLinguistic Typology上での刊行と研究代表者単著による論文がOnomatopoeia in the World’s Languagesのひとつの章としての刊行である。(2)はひつじ書房から刊行される『言語研究における英語のバイアス(仮題)』に収められるコイサン音韻論における論争を扱った論文である。(4)(5)は、ボツワナにおけるコロナ感染の危険が減少したことにより現地調査が本格的に再開され、カラハリ・コエ諸語の民話や昔話の新資料の追加収集が可能となったことによる。(6)のなかで特筆に値するのは、グイ語・ガナ語のすべての分節音について、その調音運動をrtMRIによって撮像し精査する調査を実施したことである。これにより、コイサン諸語に特有の高度に複雑な子音にかかわる音声類型論的な知見が格段に発展しただけでなく、本研究プロジェクトがもちいている複雑子音の音韻分析アプローチの音声学的な根拠を検証するためのデータも得ることができた。最終年度では、rtMRI撮像資料をさらに追加収集する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で実施が難しかった現地調査によるデータ拡大収集が、ようやく本格的に再開できるようになり、遅れがちだったテキスト資料の収録も能率的に順調に進みはじめている。本研究課題に直接関わる重要な研究成果が国際的に評価の高い学術ジャーナルで公表された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに引き続き、各標本言語の語彙データベースおよびテキスト・コーパスの拡大・整備・編集を進める。テキストについては、標本言語の危機性を踏まえて語彙・表現力豊かな年長の話者からの民話や昔話の資料をなるべく多く録音撮影資料として収集する。現在、手掛けているいくつかの論文の執筆を進め、国際学術誌へ年度内に投稿する。それと同時に、本研究プロジェクトを総括する成果物としてアンソロジーを編纂する。
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