研究課題/領域番号 |
20H00012
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近本 謙介 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90278870)
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研究分担者 |
山本 聡美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00366999)
本井 牧子 京都府立大学, 文学部, 教授 (00410978)
三好 俊徳 佛教大学, 仏教学部, 准教授 (00566995)
高橋 悠介 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (40551502)
瀬谷 貴之 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 主任学芸員 (50443411)
瀬谷 愛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (50555133)
大谷 由香 龍谷大学, 文学部, 准教授 (50727881)
阿部 泰郎 龍谷大学, 文学部, 教授 (60193009)
荒木 浩 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60193075)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
藤岡 穣 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (70314341)
箕浦 尚美 同朋大学, 文学部, 准教授 (70449362)
野呂 靖 龍谷大学, 文学部, 准教授 (70619220)
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (80346155)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2020年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | 寺院聖教 / 法会 / 真福寺 / 金剛寺 / 称名寺 / 仏教美術 / 宗教美術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世以来の経蔵・文庫のすがたをとどめる三つの拠点寺院の統合的分析に基づき、経蔵・聖教形成の過程と実態を解明することで、それを成した人と知のネットワークの動態に迫るものである。三つの拠点寺院(真福寺・金剛寺・称名寺)の影響関係の全貌は未だ十分に明らかにされてはおらず、本研究は僧侶の動態や典籍の伝播への着目により、これに挑む。 その際、文献資料と連関する宗教美術(絵画・彫刻等)に着目する点、諸寺院典籍の汎宗的性格を教学面から定位する点に、学術的創造性がある。 研究体制は拠点寺院全ての学術調査責任者をメンバーに加えて構成し、海外の研究者との協働のもと、基盤調査においては若手研究者の育成も図る。
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研究実績の概要 |
感染症感染拡大の影響により、国内外の研究活動に多大な困難を伴ったが、繰越申請を行うことで感染症対策を講じつつ海外調査も実施し、計画を遂行した。 【拠点三寺院の基盤調査・研究】のうち、基盤調査1〔真福寺〕は完成済みの第一次奥書データをもとに、定期的に少人数での調査による原本との照合・改訂作業を進め、30~35函の作業を終えることができた。基盤調査2〔金剛寺〕は感染症の影響により、本年度も通常通りの定期的な調査は難しく、可能な範囲で実施することになった。主に、すでに作成済みの簡易目録をもとに、奥書集成の準備および禅恵を中心とする歴代学頭の書写活動について分析を進めた。基盤調査3〔称名寺〕は、すでに作成済みの称名寺聖教目録に基づき、釼阿・湛睿を中心とする歴代長老の書写活動と僧侶の動態のアーカーヴを作成し、真福寺聖教と関連する南都由来の唱導・神祇関係を中心とする宗教文献について、絵画・仏像等を加えた多角的な分析を進める作業を行った。 【宗教美術の観点からの分析】では、鳥羽院政期の宗教施策の画期としての性格を捉えるべく、典籍と美術の統合的研究を進めた。六道と往生をめぐる信仰史についての統合的研究を推進し、研究分担者による個別の研究成果は発表されたが、計画していた研究成果を集約した書籍の出版にまでは至らなかった。 【汎宗派性に基づく教学の観点からの分析】では、華厳経学と法相教学を中核に据えて実施した。前者については凝然と明恵の周辺をめぐる問題について成果報告を進めた。後者については玄奘をめぐる共同研究を推進し、その成果を書籍として出版した。また、【宗教美術の観点からの分析】と【汎宗派性に基づく教学の観点からの分析】は、【国際共同研究プロジェクト】および【東アジア写本学プロジェクト】とも深く結びつけながら推進し、ハーバード美術館蔵聖徳太子二歳像および像内納入品の国際共同研究を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年5月および10月に寺院所蔵資料の調査を実施し、令和4年3月までにそこで得られたデータの分析を行う予定であった。また令和3年9月には、ハーバード大学でのフォーラムを行う予定であった。しかし、それらは感染症感染拡大の影響で実施することができず、計画よりも遅れていると言わざるを得ない状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は感染症感染拡大の影響で延期した研究の推進を図り、各地での調査や研究発表を活性化させる。 【拠点三寺院の基盤調査・研究】のうち、基盤調査1〔真福寺〕は本年度と同様に、少人数での調査による原本との照合・改訂作業を継続する。基盤調査2〔金剛寺〕は調査の実施を計画しているが、仮にそれが叶わなくても、作成済みの簡易目録をもとにした奥書集成の準備および禅恵を中心とする学頭の書写活動について分析を進める。基盤調査3〔称名寺〕は、作成済みの称名寺聖教目録に基づき、歴代長老の書写活動と僧侶の動態アーカイヴを作成するとともに、真福寺聖教と関連する南都由来の宗教文献について多角的な分析を進める。 【宗教美術の観点からの分析】では、院政期のうち鳥羽院政期の宗教施策の画期としての性格を捉えるべく、典籍と美術の統合的研究と成果報告の場を立案する。また、六道と往生をめぐる信仰史についての統合的研究を継続して推進する。 【汎宗性に基づく教学の観点からの分析】では、華厳経学と法相教学を中核に据える。前者については凝然とその周辺をめぐる問題について調査を進め、後者については玄奘をめぐる共同研究の成果報告の次のステップを策定する。また【宗教美術の観点からの分析】と【汎宗性に基づく教学の観点からの分析】は、【国際共同研究プロジェクト】および【東アジア写本学プロジェクト】とも深く結びつけながら推進する。前者との関係においては、ハーバード美術館蔵聖徳太子二歳像および像内納入品の国際共同研究を推進中であり、成果報告のフォーラムおよび展示企画を進めるとともに、成果報告の出版を実現する。後者との関係においては、玄奘と関わる経典・聖教・美術を東アジアの視座から統合的にとらえる共同研究を進め、新たな成果に結びつけるためのフォーラムと出版を準備する。
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