研究課題/領域番号 |
20H00040
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中谷 友樹 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20298722)
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研究分担者 |
井上 茂 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (00349466)
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)
田淵 貴大 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20611809)
矢野 桂司 立命館大学, 文学部, 教授 (30210305)
埴淵 知哉 京都大学, 文学研究科, 准教授 (40460589)
伊藤 ゆり 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (60585305)
磯田 弦 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70368009)
花岡 和聖 立命館大学, 文学部, 准教授 (90454511)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,810千円 (直接経費: 33,700千円、間接経費: 10,110千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2021年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2020年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 健康地理学 / 空間疫学 / 公衆衛生学 / 地理情報科学 / 社会疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
居住地域をめぐる近年の日本社会の状況変化は著しいものの、個人のライフコース上どのような居住地に住まい、どのような地域環境を経験し、それがその後の健康に影響を及ぼすのかという時間軸を含めた個人-地域関係の理解はいまだ不十分である。本研究では、地理情報を駆使した小地域指標と疫学調査資料の縦断的結合を通した時空間的な統計解析を通してて、個人のライフコースと地域の変化史の観点を統合し、健康の地理的格差が生成されるプロセスの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、個人のライフコースと地域の変化史の観点に着目して、健康の地理的格差が生成されるプロセスの解明を目指している。研究分担者の専門性に基づいて地理情報・社会調査・健康解析・社会比較の4つの班におおよその役割を分け、全体として地域指標群と健康指標との分析と、健康格差の時空間解析を通して相互の連携をはかる構成となっている。 地理情報については、まず、都市環境について街路形態に着目した新たな環境指標の検討や、都市環境の歴史性についての検討を進めた。街路ネットワークの接続性は歩きやすさの程度と関連するとされるが、その詳細な検討や現在の都市の街路形態の歴史的背景に関する分析を進めた。また、人のライフコースと関連する居住地移動について、長期的な地域間人口移動のタイポロジーなどを社会調査の資料や公的統計から検討を進めた。 社会調査については、2022年度末に実施された回顧型社会調査資料のクリーニングを行い、居住地域の困窮度とライフコース上の社会経済的不利益と健康に好ましくない行動の蓄積に関する記述的な検討を行った。加えて、大規模な社会調査にも協力し、ライフコースと居住地移動に関連する調査項目の分析も検討した。 健康解析および社会比較に関しては、近隣環境と健康の関連に関する分析研究を蓄積するとともに、更新した人口動態統計に基づく詳細な居住地別の健康格差について、COVID-19流行による死亡の地理的格差を含めて解析と国際比較に関する議論を継続した。日本社会での健康の近隣環境研究の蓄積に基づく健康づくり政策と関係した、都市計画での議論や、医療の必要不充足の可視化および同等性概念の検討、健康格差対策に関わる既存の政策パラダイムの影響の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究全体において大きな目標としていたライフコース上の居住地における経験と健康の経歴を回顧式に問う社会調査について解析を進めた結果を学会において発表できた他、関連する社会科学、医学関係の研究者との連携も深化した。また、健康行動に関連するとされる都市環境についての研究や、身体活動と近隣環境との関連やがん罹患・死亡を中心とする各種の健康指標の地理的格差に関する多数の研究蓄積を学会発表ならびに論文発表として、前年度に続き継続的に達成した。これらの状況を勘案して、おおむね順調に研究全体は進められてきたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、最終年度であることから研究全体の総括が必要となる。継続した学会および論文での発表や、方法論・得られた指標の今後の利活用に関する仕組みづくりはもとより、得られた成果の全体的な見取り図を参加者の話題を通して、整理を試みてみたい。研究の企画段階では経済成長と大都市の拡大に特徴づけられた時代から低成長時代に大都市の拡大が終焉化した時代へと移行する中で人々の居住地移動を含むライフコースの軌跡が描かれ、それが個人の健康と地域環境を関連づける背景と想定されてきた。しかし、研究実施期間中に発生したCOVID-19パンデミックにより、居住地移動を含めた人々の地域との関係にも変化が生じている。こうした諸点を念頭にしながら、ライフコースと健康と地域環境をつなぐ視点と得られた成果について、海外の関連する研究者との意見交換を、国際会議等の場を利用しながら積極的に進める予定である。
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