研究課題/領域番号 |
20H00053
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊達 規子 (大久保規子) 大阪大学, 大学院法学研究科, 教授 (00261826)
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研究分担者 |
井上 真 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10232555)
原 圭史郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30393036)
松本 和彦 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 教授 (40273560)
山下 英俊 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50323449)
高村 ゆかり 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (70303518)
大塚 直 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90143346)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2020年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 環境法 / 環境政策 / 自然の権利 / 環境権 / 参加 / 公法 / コミュニティ / 参加原則 / 将来世代の権利 / 公益訴訟 / 環境法学 / 公法学 / コミュニティの権利 / 先住民族の権利 / 参加権 / コモンズ / フューチャーデザイン |
研究開始時の研究の概要 |
環境分野では,環境権,コミュニティの権利,将来世代の権利等,さまざまな新しい権利が主張されてきたが,最近では,法令や判例により自然の権利を認める国が現れている。本研究は,①自然の権利論の文化的・社会的背景,②自然の権利と環境権等の異同,③自然の権利の救済方法,④自然の権利を考慮した参加型の政策決定手法について,理論と制度の両面から学際的な国際共同研究を行い,自然と人間の権利の体系化をめざすものである。
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研究実績の概要 |
本研究は,①環境権,②コミュニティの権利,③将来世代の権利という,自然の権利と環境に関連した他の3つの権利の異同について理論的・制度的に研究することを通じて,自然の権利論の現在の理論的水準と課題を明らかにすることを目的とする。そのために,法学だけではなく,環境社会学,環境経済学,サステナビリティ学,環境倫理学等の観点から,各国の専門家も含めて学際的な共同研究を行う。具体的には,自然の権利の実体的側面(権利の主体,内容等)と手続的側面を区別し,①自然の権利論の背景,②自然の権利と環境に関する人間の諸権利の異同,③自然の権利の救済方法,④自然の権利を考慮した参加型の政策決定の仕組みの4つの柱を立てて,自然と人間の権利の体系化をめざしている。 3年度目は,2回の合宿形式の研究会を含め3回の全体研究会を開催した。また,コロナ禍が収束に向かったことを受けて,年度後半を中心に,ようやくフィールド調査を行うことができ,それまでオンラインでのみ現地研究者の報告を聞いて意見交換していた国の一部(エクアドル,コロンビア,メキシコ)を訪問し,憲法裁判所等の裁判官,自然の権利訴訟に関わる弁護士,NGO,原告等にヒアリングを行い,現地を視察し,直接意見交換することができたことにより,研究が大きく進展した。さらに,自然の権利と環境に関連した他の権利に関する国内外の文献,法律および判例を収集するとともに,それらをデータベース化し,サーベイする作業を継続した。その結果,中南米において自然の権利は,①確かにエクアドルやコロンビアのように先住民族の権利と深く結びついているが,それだけではなく,アメリカの条例の展開等の成果も取り入れていること,②自然の権利は人間やコミュニティの権利と対立するものとして捉えられているのではなく,むしろ生態文化に関する権利としてホリスティックに捉えられていること等の知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年度目は,ようやくフィールド調査を開始できたこと等により研究が大きく進展した。しかし,本来は初年度からフィールド調査に取りかかることを予定していたのであり,コロナ禍による遅れを全面的に取り戻すには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,まず,研究の遅れを取り戻すべく,未実施のフィールド調査の実施に重点を置く。その中でも,自然に法人格を付与する先駆的制度を有するニュージーランドの調査を優先するとともに,欧州で初めて自然に法人格を付与したスペインのマールメノール湖法の調査も検討する。また,台湾,インド等,アジアの先住民の権利と自然資源管理の関係についても,現地調査の可能性を探る。さらに,アメリカについては,可能な限り条例のフォローアップを行いつつ,オンラインも含め,関係者との意見交換を試みる。次に,最近も自然の権利に関する判決が次々と出され,関連する論文の出版も相次いでいることから,引き続き,判例・文献のフォローアップを続ける。そのうえで,本格的に研究成果のとりまとめに注力する。
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