研究課題/領域番号 |
20H00063
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小林 良彰 慶應義塾大学, 法学部(三田), 名誉教授 (40153655)
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研究分担者 |
堤 英敬 香川大学, 法学部, 教授 (20314908)
原田 勝孝 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (30738810)
谷口 尚子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (50307203)
飯田 健 同志社大学, 法学部, 教授 (50468873)
築山 宏樹 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (60800480)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,680千円 (直接経費: 33,600千円、間接経費: 10,080千円)
2024年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2021年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 代議制民主主義 / 政治意識 / 選挙公報 / 政治文化 / 選挙行動 / 政治学 / 選挙公約 / データアーカイヴ |
研究開始時の研究の概要 |
民主主義の要となる選挙の機能を明らかにする政治意識に関する一連のJES研究(JESⅡ-JSⅥ)による全国パネル調査は日本における投票行動研究の基盤となっており、これまでに数多くの国内外の研究者に調査データを無償で公開してきた。本研究は、こうした一連のJES研究を明確に継承してJESⅦ(Japanese Electoral Studies Ⅶ)として全国パネル調査を実施し、調査データを継続して公開するとともに、政治意識データを選挙公約や選挙結果等のデータと融合して、従来の選挙研究から代議制民主主義研究へのパラダイムシフトすることを目指すものである。
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研究実績の概要 |
令和5年度は次の研究を実施した。(1)政治意識調査の実施と分析:これまでの選挙時調査と比較するために令和6年1月に平常時全国意識調査を実施した(有効回収2,016サンプル)。分析の結果、内閣支持率が投票行動や政治意識に与える影響が強まることがみられた。(2)選挙公約データの分析:第26回参院選・選挙区全候補者の公約の内容分析を実施してコーディングを行った。(3)多角的データの融合による選挙研究から民主主義研究への進化:第48回衆院選から第49回衆院選までの期間における全ての本会議の議事録を収集し、関連法案及び同法案への投票を選挙公約の内容分析で用いた項目に則して内容分析して照合して両者の間の一致度を測定し、代議制民主主義の「民意負託機能」、「代議的機能」、「事後評価機能」を測定して発信した。(4)Scene(政治文化)と政治意識:当初計画を超えて欧米やアジアで盛んになっているScene(政治文化)に関する調査を実施し、人口移動や政治意識との関連を分析した。さらに政治文化に関する選択的接触があるものの補強効果があるかどうかを確認するために、1年前の意識調査回答者に対するパネル調査を実施した。(5) 候補者コンジョイント実験:当初計画を超えて、政治不信が女性リーダーに対する選好を高めるのかについて候補者コンジョイント実験を実施し、特定の政党については好意度に影響することを明らかにした。(6)デジタルデモクラシー調査:当初計画を超えて、デジタルデモクラシーに対する意識調査を実施し、社会的属性に対応した有効な施策があることを明らかにした。(7)知的資産の国際的発信:国内外の諸研究機関に所属する研究者に対し、より利便性の高い知的資産を提供するため、過年度JES調査の調査概要及び邦文・英文による調査票の公開を進め、国際的にも学術的価値の高いオープン・データ化を引き続き推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画通りに平常時全国意識調査や参院選選挙区全候補者の公約内容分析、多角的データの融合による選挙研究から民主主義研究への進化、知的資産の国際的発信を実施した。さらに当初計画を超えて、①欧米やアジアで盛んになっているScene(政治文化)に関する調査を実施し、人口移動や政治意識との関連を分析した。その結果、従来、経済的要因が人口流入の主要な要因と考えられてきたが、各地域における政治文化に対する選好が人口移動に大きな影響をもたらしていることを実証的に明らかにした。また、政治文化の16次元と住民の政治意識や投票行動との間に関連があることを計量的に示した。そして政治文化に関する選択的接触はあるものの改変効果があるかどうかを確認するために、1年前の意識調査回答者に対するパネル調査を実施した。さらに、当初計画を超えて②政治不信が女性リーダーに対する選好を高めるのかについて候補者コンジョイント実験を実施し、汚職スキャンダルのプライミングによって、有権者の女性の首相に対する選好が強まるかを検証した。分析の結果、汚職プライミング群でのみ有権者は男性よりも女性の首相を好む傾向があった。また、汚職プライミング群では日本維新の会を好む傾向が統計的に有意に強まっていることも明らかになった。これらの結果から、既存研究で示されている危機と女性リーダーの相関は、有権者自身の選好によるというよりは、危機的状況では男性が指導的地位に就きたがらず、女性が擁立されやすいといった選択バイアスによって引き起こされている可能性があることが示された。また、当初計画を超えて③デジタルデモクラシーに対する意識調査を実施し、性別や年代、都市規模などの社会的属性に対応した有効な施策があることを明らかにした。これらのことから申請計画を実施しただけでなく、当初計画を超えて幾つかの重要なデータを収集して分析し、多くの知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は次の研究を実施する計画である。(1)政治意識パネル調査の実施と分析:平常時全国意識調査を実施する。ただし、令和6年に第50回衆院選が行われる場合には、平常時調査に替えて衆院選事前及び事後において全国パネル意識調査を実施するとともに、市区町村別・候補者別及び政党別データをデータアーカイヴに補充する。(2)選挙公約データの収集と分析:令和6年度に第50回衆院選が行われる場合には、同総選挙小選挙区全候補者の選挙公報データを補充し内容分析を実施してコーディングを行う。(3) Scene(政治文化)と政治意識:政治意識が政治文化による改変効果を受けるかどうかを明らかにすることで、Scene研究の社会学と政治意識研究の政治学を融合した新たな研究領域を開拓する。(4)自治体レベルガバナンス調査:自治体レベルでの代議制民主主義の実態を調べるために、先駆的施策を実施している自治体の関係者に対するヒアリングを実施する。(5) AESカンファレンスの開催:令和6年10月26日に韓国選挙学会及び台湾国立政治大学選挙研究センター、日本政治学会日本政治過程研究会と共に、AES(Asian Election Studies)カンファレンスを慶應義塾大学三田キャンパスで開催し、韓国及び台湾から選挙研究者を招聘し、日本の選挙研究者と共に民主主義や政治意識、選挙行動に関する研究報告及び質疑応答を行う。(5)知的資産の国際的発信:国内外の諸研究機関に所属する研究者に対し、より利便性の高い知的資産を提供するため、JESⅦ調査の調査概要及び邦文・英文による調査票を公開する準備を進め、国際的にも学術的価値の高いオープン・データ化を引き続き推進するとともに、諸外国の選挙研究者とデータを共有するためにCNES(Consortium of National Election Studies)への加盟を目指す。
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