研究課題/領域番号 |
20H00071
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星 岳雄 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50838729)
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研究分担者 |
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
金 榮愨 専修大学, 経済学部, 教授 (50583811)
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 教授 (80361856)
児玉 直美 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10573470)
滝澤 美帆 学習院大学, 経済学部, 教授 (50509247)
深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 特命教授 (30173305)
宮川 大介 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00734667)
森川 正之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70272284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,200千円 (直接経費: 34,000千円、間接経費: 10,200千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2021年度: 20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
2020年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 企業動学 / 退出効果 / ゾンビ企業 / 人口構造 / 無形資産 / 長期経済停滞 / 生産性 / 無形資産・人的資産 / 負の退出効果 / 経済規制 / 経営者の高齢化 / 経済長期停滞 / 需要不足 / 長期停滞 / 日本経済 |
研究開始時の研究の概要 |
20年以上にわたる日本経済の長期停滞のメカニズムを分析する。既存の研究は主に供給側の要因に注目して日本の長期停滞を考えてきたが、欧米での長期停滞も明らかになるにつれて、需要側の要因が長期的な停滞をもたらすという考え方も影響力を持つようになった。本研究は、供給側、需要側双方の要因を考え、いままであまり使われてこなかった、産業、地域、企業そして個人レベルのデータを活用してミクロレベルの関係を検証することによってマクロ現象の要因を特定化するという方法で、長期停滞のメカニズムを解明し、政策的含意を導き出す。
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研究実績の概要 |
本研究は(1)企業動学と生産性、(2)無形資産・人的資産と生産性、(3)需要不足とマクロ経済政策の誤謬の三つの分野に分析の焦点を あてる。令和4年度の研究実績の主要なものを各研究班ごとにまとめると次のようになる。 (1)企業動学と生産性:中小ゾンビ企業の研究では、産業レベルおよび都道府県レベルでのゾンビ指標を計算し、産業あるいは地域でゾンビが増えるときの影響を分析し、論文の草稿を作成した。負の退出効果に関する研究では、TSRを始めとする様々なデータを使って、生産性成長率の要因分解を行い、その結果をまとめた論文が数本公表されるに至った。政府の規制などの生産性上昇への影響についての研究では、令和3年度に行った就労者個人を対象としたサーベイ調査を分析し、その結果を論文にまとめ、公表した。また、中央省庁の許認可のデータから規制指標を作成し、それの生産性との関連をみる作業も進展している。 (2)無形資産・人的資産と生産性:人的資本投資に関する独自のアンケート調査を令和3年度に実施し、Off-JT(職場外訓練)、OJT(職場内訓練)がそれぞれ人的資本蓄積に与える影響を分析し、ワーキングペーパーとして公表した。 (3)人口構造と生産性に関して、経営者の年齢と生産性の関係が逆U字型になるという実証結果を参考にして、それと整合的なマクロ理論モデルを構築し、分析した結果をまとめる論文の草稿を完成させた。労働市場の二重性(フルタイムとパートタイム)に注目する賃金動向の分析を2022年までのデータを付け加えて行った。コロナ直前から賃金が経済活動に反応しやすくなっていることが明らかになり、コロナ感染症のこの分野での影響はそれほど大きくなかったことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が全体を統括するとともに全ての研究班に参画し、研究班相互間の連携・調整を図ることによって研究を進めてきた。当初は、新型コロナウイルス感染症の影響から、共同作業が難しかったが、令和4年度後半からは、対面で会うことも可能になり、ようやく想定していた進度に近づいてきた。一つ残念なのは、令和3年度に予定していた日米起業家サーベイが、当初協力を期待していた機関との連携がうまく進まなかったなどを理由に、計画変更後令和4年度に実行すべく予算の繰越を行ったが、それでもうまくいかず断念する結果になってしまったことである。この部分は当初期待していた成果が得られなかったが、他の部分では、たとえば負の退出効果の研究のように、当初想定したこと以上の発見が得られたところもあるので、ある程度相殺されると考える。また、他の二つのアンケート調査(規制に係るサーベイ、無形資産・人的資本に係るサーベイ)に関しては、予定通り令和3年度に実行され、その結果が分析され、複数のワーキングペーパーが生まれている。今年度は最終年度になるが、新型コロナウィルス感染症の状況も改善して、対面での研究会もやりやすくなってきたので、順調に研究の最終的なまとめを行うことができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究の最終年度になるので、その成果をまとめて、研究書として出版したい。本研究は、3つの研究分野(企業動学と生産性、無形資産・人的資産と生産性、需要不足とマクロ経済政策)とそれらの中身としての12の分析(中小ゾンビ企業、負の退出効果、規制と生産性、コーポレート・ガバナンスと企業動学、国際的サプライチェーンと企業動学、無形資産と産業集中度、人的資本投資と生産性、起業家精神と生産性、高度人材とイノベーション、人口構造と貯蓄―投資バランス、人口構造と生産性、しつこいデフレ傾向の原因)からなるが、一つの分析について少なくとも一つの学術論文を完成し、それらをまとめた学術書を出版したい。実際の出版は来年度以降になるだろうが、今年度中に2回の対面のコンファレンスを行い、各論文をほぼ完成させたい。1回目は、令和5年秋に開催し、論文のその段階での草稿を持ち寄って議論する。研究分担者のみならず、何人かこの分野の研究者を招いて、論文の草稿にコメントしてもらう。そのコメントをもとに、各自論文を改訂し、令和6年3月開催予定のコンファレンスまでに最終版を準備して、討論する。
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