研究課題/領域番号 |
20H00102
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岩田 欧介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30465710)
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研究分担者 |
岡村 尚昌 久留米大学, 付置研究所, 准教授 (00454918)
國吉 康夫 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10333444)
永田 雅子 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 教授 (20467260)
藤岡 一路 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20568810)
柴崎 淳 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (30540471)
竹内 章人 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部), 成育医療推進室, 新生児科医師 (40731386)
日下 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50274288)
有光 威志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383840)
荒木 由布子 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (80403913)
戸田 智基 名古屋大学, 情報基盤センター, 教授 (90403328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2020年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
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キーワード | 新生児 / 言語 / 発達 / 母体 / 環境 / 刺激 / 高次脳機能 / 認知 / 早産 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では在胎25-26週で出生する児の90%以上が生存退院するが,その児の半数以上が発達や高次脳機能にハンディキャップを負う.障害軽減のため,現在は子宮内を模した無刺激な環境が提供されているが,過剰な感覚入力制限の負の影響を指摘する声もある.本研究では,在胎22-32週で出生した240名の早産児を母集団に,録音された母親の音声の保育器内再生が3歳までの発達を改善するかを,短期脳科学ツールと長期言語認知発達評価から検討する.新生児期の機能的近赤外線分光法,2か月時の概日周期,18か月と3歳時の認知・言語発達により多面的に評価を行う.言語刺激が有益な場合,健常児の発達支援にも応用可能である.
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研究実績の概要 |
本研究は,母親の歌や語り掛け・読み聞かせを編集加工・最適化し,生後早期から早産児に聞かせることによって,遠隔期の言語・認知機能が改善するかを,短期脳科学ツールと長期言語認知発達評価から詳細に検討するプロジェクトである.多施設での症例集積を予定していたが,Covid19パンデミックによる制約から,当面研究代表施設である名古屋市立大学病院NICUによる単施設研究として実施し,研究分担者では,得られたデータの解析・二次利用や,施設独自の関連研究を実施するよう軌道修正している.代表施設では,2020年度に倫理審査・機器整備を完了し,2021年度にパイロット研究による観察系の動作確認を行い,母親の語り掛けや読み聞かせを録音・加工するアルゴリズムが確立されている.Covid19パンデミックによる長引く面会停止により,症例のリクルートメントが中断しているが,2022年度は面会制限が緩和される見通しであり,状況の改善を待って症例リクルートメントを開始したい. 代表施設では,近赤外線分光法を用いたベッドサイドでの脳組織構造変化の評価法を確立する研究,生後1か月の健常児における環境と睡眠周期の関係を明らかにする研究,NICU入院時における自閉症スペクトラム障害発生状況の詳細評価に関する研究を関連研究として実施し,本研究で使用するポリグラフ・近赤外線スペクトロスコピーおよびアクチグラフのバリデーションを行うことができた(それぞれ国際査読誌に公表).東京大学・静岡大学・香川大学・久留米大学チームは,本研究再開後に得られる検体アッセイおよびデータ解析法を確立している.神戸大学・慶応義塾大学チームは,新生児脳波を用いて遠隔期の高次脳機能を予測するプロジェクトを軌道に乗せ,成果を上げている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,母親の歌や語り掛け・読み聞かせを編集加工・最適化し,生後早期から早産児に聞かせることによって,遠隔期の言語・認知機能が改善するかを,短期脳科学ツール(機能的近赤外線スペクトロスコピー)と長期言語認知発達評価から詳細に検討するプロジェクトである.多施設での症例集積を予定していたが,Covid19パンデミックのために,症例リクルートメントを予定していた産科・新生児施設では,保護者の面会も原則禁止となり,多施設共同研究から,代表施設である名古屋市立大学単独のリクルートメントに計画を変更している.研究分担者には,得られたデータ解析および施設ごとに関連研究の実施を依頼している.名古屋市立大学においても,初年度から予定されていた症例のリクルートメントが長らく中断されてきたが,その間に倫理審査・機器整備・動作確認を完了し,母親の語り掛けや読み聞かせを録音・加工するアルゴリズムも確立された.Covid19流行の第6波終息後速やかに面会制限が緩和される見通しであり,可及的に速やかに症例リクルートメントを開始したい. 研究分担者のうち,データ解析を担当予定の東京大学・静岡大学・香川大学・久留米大学では,2年度以降に必要な解析アルゴリズムの確立・ハードウェアの整備・アッセイ系の確認および消耗品の調達を済ませている.神戸大学・慶応義塾大学の研究分担者は,新生児脳波を用いて遠隔期の高次脳機能を予測するプロジェクトを立ち上げるために,ハードウェア等の整備を完了している. Covid19のパンデミックは,治療に直接関係しない臨床研究を非常に困難な状況に追い込んでいるが,残された3年間で可能な限りの症例数をリクルートし,計画通りの規模の研究を完了したい.
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今後の研究の推進方策 |
Covid19流行の第6波が終息する5-6月ごろをめどに症例リクルートメントを開始し,年度内に80症例程度のデータを収集する.研究分担者とは,上半期にはWeb会議を,下半期にはライブでの会議を実施し,研究の進捗状況・解析上の問題点・プレリミナリな結果の共有を行う.研究プロトコルそのものは当初案の通りとし,在胎33週未満で出生した児を,保護者の同意後にリクルートし,従来環境群と言語刺激群に振り分ける.母親の語り掛け・読み聞かせ・歌を録音し,音声部分が1時間に12分,最大40dbになるように加工.介入群では日齢8から修正36週まで,8:00-20:00の間保育器内再生する.開始3日間(日齢8-10),以後修正36週まで7日ごとに,児の動画を撮影.1.保育器内の音声と音圧,照度,呼吸・心電図・動脈血酸素飽和度,2.簡易脳波と体動計,3.看護ケア情報(授乳・おむつ交換・採血などの時間と睡眠覚醒状態)を24時間記録する.音声データから1時間ごとの単語数を計測.在胎38週相当で,児の動睡眠中に,対照群・介入群の全児に1.母親の録音言語,2.母親以外の女性の共通録音言語を聞かせ,前頭・側頭部の近赤外線分光法情報を収集し,前頭葉・側頭葉の酸素化ヘモグロビンの変化を記録する.退院時には自動聴性脳幹反応と頭部MRIを評価する.退院後(出生予定日から2か月)で睡眠日誌およびアクチグラフから,日中の言語再生が児の夜間睡眠確立に与える影響を評価する.修正18か月と満3歳で認知・言語発達評価(主要評価項目)を行う.生体情報・音圧・照度の時系列データを,主要・副次評価項目(言語への反応,MRI,概日周期,自閉症スペクトラム障害・注意欠陥・多動性障害,3歳の発達)を従属変数とし,介入,臨床背景,呼吸心拍,心拍変動の揺らぎ,照度,音圧,言語刺激量,睡眠覚醒状態を独立変数とした重回帰モデルを作成する.
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