研究課題/領域番号 |
20H00105
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
|
研究機関 | 帝京大学 (2022-2023) 東京大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
岡ノ谷 一夫 帝京大学, 先端総合研究機構, 教授 (30211121)
|
研究分担者 |
池渕 万季 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (20398994)
橘 亮輔 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任准教授 (50610929)
柳原 真 帝京大学, 先端総合研究機構, 講師 (60392156)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2020年度: 20,410千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 4,710千円)
|
キーワード | ミラーニューロン / ラット / ジュウシマツ / 報酬 / 発声学習 / 情動伝染 / ドパミン / コミュニケーション / 報酬系 / 超音波発声 / 鳥類 / げっ歯類 / 模倣 / 共感 / ロシア人形モデル / 模倣学習 / 情動系 / 基底核 / 聴覚 / 発声 / 帯状回 |
研究開始時の研究の概要 |
模倣と共感がどちらも生得的な知覚運動メカニズムとして捉えられるという指摘は早くからなされてきたが、これを実証しようとした研究は少ない。本研究は、小鳥の歌学習とラットの情動伝染をそれぞれ模倣と共感の原初的なモデルとして、神経回路から行動のレベルまで、それらの共通点を探ろうとするものである。仮説として、「模倣も共感も、ミラーニューロンと報酬系のドパミン神経細胞とが密に接続することで生起する」を提案する。本研究はコミュニケーション行動の生物心理学的基盤を与えることとなろう。
|
研究成果の概要 |
模倣と共感の原始的モデルとして小鳥の歌学習とラットの情動伝染に共通する神経機構を探った。小鳥が歌を学ぶ過程は音声模倣学習である。組織化学的な方法で小鳥の聴覚と発声の双方に応答する細胞を大脳基底核に同定し、その近傍にチロシン水酸化酵素(TH)を見出した。ラットは快情動下と不快情動下で特異的な音声を発し、それらに接近または回避することから共感様応答が起きている。ラットの前帯状皮質にはこれらの音声に応答する神経細胞があることを示し、同部位でもTHが発現することがわかった。これらの結果は、模倣と共感に共通してミラーニューロン様細胞があり、それがドパミン系によって強化されていることを示唆する。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
模倣と共感は、ヒトを含む多くの動物の円滑な社会生活に必要な能力である。従来これらは個別に研究されており、共通基盤があることは想定されていなかった。本研究では、ジュウシマツの歌学習を模倣のモデルに、ラットの快不快音声への応答を共感のモデルとした。生物心理学的研究から、どちらの過程にも感覚と運動を統合するミラーニューロンと呼ばれる神経細胞があり、また、その神経細胞はドパミンを中心とする脳の報酬系によって強化を受けていることがわかった。本研究はコミュニケーションの基盤として模倣、共感、報酬があることを示た点で学術的な意義があり、コミュニケーション研究の今後の方向性を示した点で社会的意義がある。
|