研究課題/領域番号 |
20H00109
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
櫻井 芳雄 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (60153962)
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研究分担者 |
結城 笙子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60828309)
眞部 寛之 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80511386)
廣川 純也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 主任研究員 (40546470)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2021年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2020年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
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キーワード | 記憶 / 神経回路 / セル・アセンブリ / マウス / ラット / 統合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、これまで認知心理学が示してきた記憶の形成と統合のモデル、すなわち低次から高次に至る多様な情報ネットワークの形成や、それらの統合から生じるより高次な記憶の創成を、機能的神経回路の活動として検出することを目指す。また、そのような機能的神経回路の動的な特性を、動物の柔軟な行動と対応させ明らかにする。 中心とする方法は、ラットの多様な記憶課題とより高次な記憶課題の訓練、課題学習中の多数ニューロン活動の長期間同時記録、オプトジェネティクスによるニューロン集団の賦活と行動解析などである。 それらの最先端の実験技術に精通した代表者1名と分担者3名が研究を遂行し、博士課程大学院生4名が協力する。
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研究実績の概要 |
1.前年に続き、嗅覚弁別課題遂行中のラットとマウスの嗅皮質亜領域からマルチニューロン活動をさらに記録し、十分なデータを得ることができた。その結果、嗅覚刺激と行動の連合に関わるニューロンや、嗅覚に基づく風味の記憶に関わるニューロンなどが、それぞれ異なる亜領域にあることがわかった。 2.ラットのメタ認知課題の訓練も、研究分担者の結城笙子を中心にさらに進めた。その結果、ラットがまちがいなくメタ認知を働かせていることを行動解析から示すことができた。 3.音と場所の連合記憶課題を学習しているラットの海馬と聴覚皮質のマルチニューロン活動を、学習に要する数日間にわたり記録し続けた。十分なデータが得られたためまとめたところ、海馬には学習途中で報酬情報をフィードバックする働きがあること、また聴覚皮質には、音の弁別機能を向上させたり、音-報酬の連合を形成する働きがあることがわかった。 4.マルチニューロン活動の記録法と解析法についても、研究分担者の眞部寛之と廣川純也を中心にさらに改良を続けた。その結果、複数のワイヤー電極を複数の部位に配置できるよう小型で軽量のマイクロドライブを完成させた。また、ディープ・ラーニングを活用した解析が安定して行えるようになった。 5.新たなオプトジェネティクス法についても、さらに改良を進め、標識化を促進できる新規ウイルスベクターCav2-CARによる二重感染法を安定して行えるようになった。また、新たな遺伝子改変動物の作成と改良も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症拡大の影響も少なくなり、ほぼ予定どおり進捗させることができた。複数の高次な記憶統合課題をラットとマウスに訓練することが順調に進んでおり、嗅皮質、海馬、聴覚皮質など複数の脳部位からの記録も進展し、十分なデータを得た。成果は論文として国際誌に掲載し、さらに複数の論文投稿を準備している。また、マルチニューロン活動の記録方法とオプトジェネティクス法の改良も、ほぼ予定どおり進み、実用段階になった。昨年度から新たに取り組んだ遺伝子改変動物の作成と改良も進み、データを採り始めることが出来た。さらに、マルチニューロン活動のデータ解析も安定して行えるようになり、論文の作成に活かせるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでどおり、ラットとマウスに複数の高次な記憶統合課題を訓練し、課題遂行中、あるいは課題を学習中のマルチニューロン活動を、嗅皮質、海馬、聴覚皮質、前頭皮質などから記録し解析を進める。また複数部位からの同時記録も進め、部位間の相互作用についても検討する。これまでに開発したオプトジェネティクス法や遺伝子改変動物も最大限活用することで、セル・アセンブリの統合の実態を明らかにする。
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