研究課題/領域番号 |
20H00111
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分11:代数学、幾何学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小木曽 啓示 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40224133)
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研究分担者 |
川口 周 京都大学, 理学研究科, 教授 (20324600)
高木 俊輔 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40380670)
藤野 修 京都大学, 理学研究科, 教授 (60324711)
權業 善範 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70634210)
川又 雄二郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別教授 (90126037)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
38,480千円 (直接経費: 29,600千円、間接経費: 8,880千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 代数力学系 / 双有理自己同型群 / 力学次数 / カラビヤウ多様体と錐予想 / 数論力学系 / 実形式と錐予想 / 有理曲面 / 実形式の非有限性 / 自己射のエントロピー / Slow dynamics / 自己同型群 / 力学次数とエントロピー / 非可換代数幾何学 / 有限生成性 / 自己写像力学次数 / 代数多様体の実形式 / 捻じれ斉次座標環 |
研究開始時の研究の概要 |
豊富な群対称性をもった代数多様体の研究である。そのための決まった道具はないため、代数多様体の群対称性を明らかにする試みは、様々な視点からの柔軟なアプローチが不可欠であり、一般論の発展のよい試金石になるとともに、一般論構築の視点を提供するという点でも意味のある研究である。また、そのための研究者交流は欠かせないものとなる。本研究の目的は、国際共同研究を通して、代数多様体の離散的全自己同型群の(非)有限生成性と実形式、錐予想、エントロピー零の無限対称性を有する代数多様体の構造とwildな対称性及び関連する諸問題を、双有理代数幾何、複素・算術力学系、非可換代数等とのかかわりの中で調べることである。
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研究実績の概要 |
最大の成果は当該研究課題における最重要課題であった、実形式を無限個許容する滑らかな複素有理曲面が存在することをTien-Cuong Dinh氏、Xun Yu氏との共同研究において示したことである。結果は2000年初頭にKharlamov氏が提示した懸案の問題に最初の解決を与えるものである。結果は、論文"Smooth complex projective rational surfaces with infinitely many real forms, T.C. Dinh, K. Oguiso, X. Yu" (arXiv:2106.05687)にまとめ、ArXivに公表した。この論文は、国際一流誌であるJ. Reine Angew. Math.から2023年に出版された。
Tien-Cuong Dinh氏 Hsueh-Yung Lin氏、De-Qi Zhang氏との共同研究で、コンパクトケーラー多様体に零エントロピーで作用する自己同型の反復合成の(1,1)型ホッジコホモロジー群への作用のノルムの増大度を調べ、その最良の評価を得た。結果は、"Zero entropy automorphisms of compact Kaehler manifolds and dynamical filtrations,T.C. Dinh, H.Y. Lin, K. Oguiso, D.-Q. Zhang"に以前の結果の修正と合わせてまとめ、Revised Versionの形でArXivに投稿した(arXiv:1810.04827)。その主要部は、国際一流誌Geometric and Functional Analysisから2022年に出版された。
また、延期だったイタリアでの研究集会が2022年度無事開催され、招待講演者として出席し成果発表した。渡航費には当該科研費の繰り越し金を使用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究課題における最重要課題であった、実形式を無限個許容する滑らかな複素有理曲面が存在することをTien-Cuong Dinh氏、Xun Yu氏との共同研究において示すことができるなど、共同研究の進展は当初の計画以上に順調に進んだともいえる。また、コロナ禍ではあったが、NCTSに約2か月半滞在し、Kawaguchi-Silverman予想をテーマに集中講義を行えたことは、J.K.Chen氏、H.Y. Linとの新たな共同研究にもつながり、当該研究における成果の一つとなった。他方、負の側面としては、2020年度に続き、オンラインによる成果発表はできたものの、開催予定であった国際研究集会は2021年度も軒並み延期となり、対面による成果発表、それに伴う対面での議論の多くは、次年度である2022年度に持ち越しとなったことが挙げられる。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究テーマとも密接に関係するが、当初の研究計画にはなかったKawaguchi-Silverman予想に関するJ.K.Chen氏、H.Y. Linとの新たな共同研究を推進し、成果をまとめることと公表することは2022年度のテーマのひとつとなる。また、T.C. Dinh氏、X.Yu氏との一連の共同研究により実形式を無限個許容する多様体の研究は一段落ついたともいえる。そのため、実形式の有限性の問題、すなわち、実形式が有限個であるための良い条件を見出し、本来期待されていたはずの実形式の有限性条件をより透明かつ汎用性のある形で与えることも2022年度の研究において推進すべき重要なテーマである。
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