研究課題/領域番号 |
20H00112
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分11:代数学、幾何学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金銅 誠之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 名誉教授 (50186847)
|
研究分担者 |
島田 伊知朗 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10235616)
尾高 悠志 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30700356)
松本 雄也 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 講師 (50773628)
馬 昭平 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80633255)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
34,060千円 (直接経費: 26,200千円、間接経費: 7,860千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | K3曲面 / Enriques曲面 / モジュライ空間 / 保型形式 / 自己同型群 / Kummer曲面 / コンパクト化 / 混合ホッジ構造 / 実直線配置 / 有界対称領域 / エンリケス曲面 / 格子理論 / モジュラー形式 / 格子 / 特異点 / Coble曲面 / 自己同型 / モジュライ / 小平次元 / 商特異点 |
研究開始時の研究の概要 |
2017年に8次元および24次元の球充填問題が解決されたことは記憶に新しい。定値の格子の一つであるLeech格子が24次元の解を与えている。この問題は3次元以下を除けば未解決であったことを考えれば、24次元の世界が特に興味深いと考えられる。一方、K3曲面のオイラー数は24であり、全コホモロジー群は符号が (4,20) の不定値の24次元格子である。不思議なことにK3曲面の幾何学と定値の24次元格子とは相性が良いことが分かってきた。K3曲面やその商であるエンリケス曲面の幾何学と24次元格子が深く関係していると考えられる。この観点を取り入れ、総合的にK3曲面、エンリケス曲面の研究を進める。
|
研究実績の概要 |
代表者は標数2のKummer曲面の自己同型群の生成元を求め、I. Dolgachev氏との共同研究では標数2のKummer曲面のbitangent linesのなす曲面を決定した。またK. Hulek, 前田洋太両氏との共同研究で射影直線上の12点のモジュライ空間(Deligne-Mostow variety)のコンパクト化の性質に関する論文を完成し投稿した。さらにDolgachev氏と執筆してきた著書 Enriques surfaces IIの最終校正を終えた。分担者島田は実直線配置で分岐する平面の二重被覆のトポロジーを調べ実構造から自然に定まる 2-サイクルの交点数を計算した。分担者馬は高次元モジュラー多様体の混合ホッジ構造を研究した。特に、ジーゲル作用素と重さフィルトレーションを関係付け、またいくつかのホッジ成分を計算するスペクトル系列を構成した。さらに、佐藤謙氏と共同でいくつかのK3曲面の族に対して高次チャウサイクルを構成した。分担者尾高は前田洋太氏との共同研究を発表した。これはK3曲面やその他関連する代数多様体のモジュライのコンパクト化にも関わり、特にそのBaily-Borelコンパクト化の双有理的なクラスについて保形形式の応用をもたらすものである。分担者松本はアーベル曲面を-1倍写像で割り特異点を解消して得られる曲面であるKummer曲面を調べた。標数2で超特異である場合を除き,Kummer曲面はK3曲面になり,また例外曲線の本数は16である。標数2の超特異の場合について,適切な条件を満たす16本の曲線から出発することで,非分離的な類似の結果を得て論文として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者、分担者全てが研究成果を得ている。特に標数2のKummer曲面の研究においては、様々な方向からの研究成果が得られており、またモジュライ空間の研究においてもコンパクト化や保型形式論の視点からの研究成果が得られている。代表者とDolgachev氏が執筆してきた著書 Enriques surfaces IIも最終校正を終え出版の目処が立った点も評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで通り、代表者が分担者と連絡をとりながら研究を進める。国際、国内会議への参加と講演等を通じて各国の研究者と研究連絡を実施しながら研究を進める。最終年度であり、本研究の集大成と位置付ける著書 Enriques surfaces II (Dolgachev氏との共著)の刊行に全力を注ぐ。また標数2のKummer 曲面の研究においては様々な方向で成果があがってきており、そこにモジュライ的な観点を加えることを試みる。
|