研究課題/領域番号 |
20H00128
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮崎 州正 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40449913)
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研究分担者 |
池田 昌司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00731556)
川崎 猛史 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (10760978)
水野 大介 九州大学, 理学研究院, 教授 (30452741)
吉野 元 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (50335337)
竹内 一将 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50622304)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2021年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2020年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
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キーワード | 非平衡統計力学 / ソフトマター物理 / 生物物理 / ガラス転移 / ジャミング転移 / レオロジー / アクティブマター |
研究開始時の研究の概要 |
液体が低温で結晶状に固まる現象は相転移としてよく理解されているが、液体が低温でアモルファス状に固まるガラス転移は、未だによく理解されていない。相転移であれば秩序の変化を伴うはずだが、アモルファス固体の中にそれがはっきりと見えないのである。このガラスに隠れているに違いない秩序を探すために、我々は、ガラスを変形させるなど、あえて非平衡状態に置くことを考える。系が熱平衡状態から大きくずれると、より低温・高圧力の領域の探索が容易になったり、ランダムな秩序を検出しやすくなるからである。我々の研究は、ガラス転移の本質的理解に資するだけでなく、ガラスの応用の裾野を広げる可能性を秘めている。
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研究実績の概要 |
(1)ジャミング系の非線形レオロジー: ジャミング転移点近傍における非線形レオロジーを数値実験により解析した。特に、転移点近傍での応力緩和を、振動シアのプロトコルと、微小剪断後の緩和プロトコルの両方で解析を行い、その代数的緩和が従来しられていた指数から系統的に外れることを明らかにした。この指数は剪断の振幅に敏感に依存し、振幅が線形領域から非線形領域に移行すると指数が従来の値に一致することを明らかにした。 (2)ジャミング系における超一様性: ジャミング転移点近傍では、密度揺らぎが異常に抑えられる超一様性という現象が観測されることは以前より知られており、さらにその指数が次元に依存しないと考えられてきた。我々は2次元ジャミング系で超一様性を詳細に精査し、その指数が次元に依存することを明らかにした。またジャミング配置を生成する際のプロトコルを系統的に変化させ、超一様性を支配する特徴的な長さが変化することを明らかにした。に依存する関係を、準静的振動シアにより明らかにした。 (3)アクティブマター中の非平衡揺らぎ: アクティブマターの単純な模型の実験・数値実験を通して、その相転移現象や非平衡揺らぎの解析を行った。特に、アクティブブラウン運動モデルに、慣性項を導入することで、非平衡相分離現象を抑制することで、相分離に阻害されない状態を作り、一様かつ非平衡である定常状態における、非平衡揺らぎの特異な性質を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初の計画に従い研究を実施し、その進展は想定する範囲であった。一方、コロナ禍のもとで、研究発表の機会は想定よりも少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ジャミング系の非線形レオロジー: ジャミング転移点近傍における、非線形レオロジーと粘弾性挙動、そして微視的な応力緩和の統計則を明らかにする。特に、ソフトニングとよばれる特異な非線形応答領域における応力の動的応答に焦点を当てる。 (2)アモルファス固体や結晶固体の様々なハイパーユニフォーミティ:ジャミング系における粒子配置の揺らぎは、平衡系のそれとくらべて異常に小さくハイパーユニフォーミティと呼ばれれている。しかし、秩序がある結晶あるいは多結晶と、無秩序の極限であるジャミング系の間の境界は明確ではない。方向秩序だけでは予測できない、ジャミング系のハイパーユニフォーミティの出現機構をシミュレーションにより明らかにする。 (3)アクティブマター中の非平衡揺らぎ: アクティブマターの単純な模型の実験・数値実験を通して、その相転移現象や非平衡揺らぎの解明を行う。特に、実験・理論の双方から、最近のアクティブマター研究の大きな話題となっている、非平衡揺らぎの長距離相関、アクティブ乱流、またはアクティブガラス転移の研究を行う。また、アクティブブラウン運動モデルに時間反転対称性を持たないキラルなモデル系を題材にとり、新規アクティブ系の理論研究も行う。
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