研究課題/領域番号 |
20H00142
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白谷 正治 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (90206293)
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研究分担者 |
小林 達哉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30733703)
布村 正太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (50415725)
石川 健治 名古屋大学, 低温プラズマ科学研究センター, 教授 (60417384)
鎌滝 晋礼 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (60582658)
富田 健太郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70452729)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2021年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2020年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
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キーワード | プラズマプロセス / 微粒子トラップ / 電場計測 / 電場揺動計測 / 2体問題 / 光捕捉 / シース電場ゆらぎ / 高アスペクト比エッチング / 微粒子プラズマ / 高感度電場計測 / ゆらぎ / 高アスペクト比 / エッチング / 光ピンセット / シース電場揺らぎ |
研究開始時の研究の概要 |
プラズマプロセスで形成するナノ構造揺らぎの抑制が、3次元集積回路の超高層化における最重要課題である。本研究では、超高層3次元集積回路の実現に最も重要なエッチング形状揺らぎとプラズマ揺らぎの関係に焦点を当てる。高アスペクト比エッチングでは、イオンの指向性揺らぎが問題である。イオンの運動エネルギーの異方性に関係する微弱な電場揺らぎは従来の電場計測法では検知できない。本研究では、光捕捉微粒子を用いた超高感電場計測法を用いて、シース電場構造の時空間揺らぎの形成機構を解明する。プラズマ・基板間のシース電場の時空間構造揺らぎを実測するとともに、その発生原因を同定する。
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研究実績の概要 |
シース電場の時空間構造揺らぎ形成機構の解明とこの電場揺らぎとエッチング形状揺らぎの関係解明を目的とする本研究では、4年間の研究期間において次の2項目について明らかにする。1)光捕捉微粒子を用いた低侵襲・超高感度電場計測法によるシース電場の時空間揺らぎ計測・解析(1-3年目)。2)高アスペクト比構造を用いた入射イオンの振る舞い解析(3-4年目)。3年目(2022年度)は、電場計測の定量評価において重要である、帯電量較正を行った。2つの微粒子の衝突現象をプラズマ中に起こし、2体粒子間にかかる力及び相互作用を評価し、微粒子の帯電量をより精度良く導出し評価した。これにより、各微粒子位置における垂直方向と水平方向の電場強度EzとErを評価し、zr平面における電場ベクトルの空間分布をマイクロメートルオーダーの空間分解能を持って計測できることを示した。そして、電場揺動計測において、まずは、微粒子の位置揺動から導出できるかどうか検証した。位置揺動は、水平方向の電場強度Erが大きくなるほど、強くなることから、位置揺動と電場揺動に関連があることを示した。電場揺動のみを評価するために、微粒子トラップ用レーザーの入力パワーによって位置揺動にどのように影響を与えるか等、微粒子にかかる力を検証した。さらに、プラズマ中の2体微粒子に作用する力(シャドー効果による引力とクーロン斥力)を起因とした微粒子のふるまいをより詳細に観察し、それらの力の影響について明らかにした。また、粒子シミュレーションを用いて、電場揺動がイオンの入射角度分布に与える影響も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた検討事項のうち、予定していた研究項目1)光捕捉微粒子を用いた低侵襲・超高感度電場計測法によるシース電場の時空間揺らぎ計測・解析(1-3年目)について、電場計測および電場揺らぎの2次元分布評価、および3次元計測評価及び、帯電量をより精度良く評価するなど、研究目的を着実にクリアできている、また、研究項目2)高アスペクト比構造を用いた入射イオンの振る舞い解析(3-4年目)に関しても、粒子シミュレーションにおいて電場揺動の影響を評価できていることから、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
4年目にあたる2023年度は、高アスペクト比構造を用いた入射イオンの振る舞い解析だけでなく、レーザーによる微粒子トラップ技術を用いた電場揺動評価手法を開発する。さらに、プラズマ中2体微粒子に作用する力(シャドー効果による引力とクーロン斥力)を起因とした微粒子のふるまいについて、実験的計測に関しての研究は少ないため、シャドー効果などを実験的観察によって、評価する。さらに、2つの微粒子を同時にプラズマ中で光捕捉し、2体粒子間の相互作用について検討を開始する。2つの微粒子を任意に移動させることができることから、微粒子に働く力の評価方法を新たに提案できる可能性がある。光捕捉されたプラズマ中微粒子には、レーザー光捕捉力、クーロン力、イオン粘性力、ガス粘性力、シャドー効果による引力が作用している。この新たな手法だと、微粒子間距離に関係するクーロン力、シャドー効果による引力を、より精度よく評価できる可能性がある。さらに、微粒子に働く力の揺らぎに起因して微粒子捕捉位置からの揺動が発生すると考えられるため、実験条件等によって、イオン粘性やガス粘性、電荷の揺らぎの影響を除去し、電場揺動の時空間分布をより精度よく評価できうると考えられる。電場揺動による入射イオンの振る舞いを評価するために、今年度も粒子シミュレーションにおける研究も進める。放電電圧の波形によって電場揺動の形が変わることが過去の研究によって明らかになっている。そこで、その波形によって、イオンの振る舞いがどのようになるかを評価する。さらに電子の振る舞いへの影響も評価することで、これらの研究成果がプラズマプロセスに展開して、その汎用性を検証するとともに、関連する研究開発の加速に貢献する。
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