研究課題/領域番号 |
20H00145
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
斎藤 勇一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先進ビーム利用施設部, 部長 (40360424)
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研究分担者 |
岡本 宏己 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (40211809)
伊藤 清一 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 助教 (70335719)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,630千円 (直接経費: 35,100千円、間接経費: 10,530千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2020年度: 21,190千円 (直接経費: 16,300千円、間接経費: 4,890千円)
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キーワード | 単一イオン注入 / イオントラップ / レーザー冷却 / NVセンター / 量子情報 / 単一イオン引出し / NVセンター多量子ビット / NVC多量子ビット |
研究開始時の研究の概要 |
研究チームが有する先進的ビーム集束技術"加速レンズ技術"と"レーザー冷却イオンの射出・制御技術"を融合し、任意の位置に任意の個数の窒素イオンを照射する技術を開発する。具体的には、ドップラーレーザー冷却と線形ポールトラップを利用して、Caイオンとの共同冷却によりmKオーダーの極低温に冷却した窒素イオンを1個ずつ引き出し、高縮小率が得られる加速レンズ技術を駆使して、数nmの精度で照射位置を制御する技術を実現する。この技術により、室温で動作する量子コンピュータや量子暗号通信、超高感度量子センサへの応用の期待が高いダイヤモンド中の窒素-空孔(NV)センターの多量子ビット化を大きく前進させる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、イオントラップでクーロン結晶化させて紐状に並んだ4個のCaイオンをトラップから射出して、MCP粒子検出器により4個のイオンをそれぞれ検出することに成功した。この時のイオンがMCPに到達する時間間隔は70ns程度で、おおむね計算値と一致した。トラップから引き出したイオンを製作した加速レンズで目的の径に集束させるための各種電圧とそれらを印加するタイミングをシミュレーションにより検討し、数nmレベルに集束可能な条件を見出した。また、実証機用のイオントラップの設計・製作を行った。 また、実際にイオン注入する場合、Caイオンにより共同冷却されるNイオンは1個から2個程度となるため、イオンを一つ注入するごとにクーロン結晶を再構築する必要があり、それに数分程度の時間を要する。産業利用などの実用化を考慮するとその時間の短縮が課題となる。そこで、複数のNイオンをトラップしてCaで共同冷却することのできる新たなクーロン結晶状態をシミュレーションにより探索した。その結果、中心軸上の13個のNイオンを24個のCaイオンが取り囲むような形状の3D結晶が存在することを突き止めた。さらに、イオントラップ等に印加する電圧を精密に制御することにより、そこからNイオンを一つずつ取り出せる可能性があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の計画は、実証機の作製とそれを用いた実証実験を行い、NVセンター多量子ビット形成に着手する予定であったが、前年度の加速レンズ等の性能試験が遅れたことにより、実証機の作製に留まり、多量子ビット形成に着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として、トラップしたCaイオンを用いて加速レンズで集束したビーム径を計測し、レンズ等の調整パラメータの最適値を求める。次に共同冷却したNイオンをダイヤモンド試料の狙った位置に注入し、NVセンターが形成されているか確認し、装置の性能を評価する。
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