研究課題/領域番号 |
20H00146
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
末包 文彦 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 教授 (10196678)
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研究分担者 |
川崎 健夫 北里大学, 理学部, 教授 (00323999)
今野 智之 北里大学, 理学部, 講師 (60751518)
菅谷 頼仁 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (80324747)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,680千円 (直接経費: 33,600千円、間接経費: 10,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2021年度: 23,790千円 (直接経費: 18,300千円、間接経費: 5,490千円)
2020年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | ニュートリノ原子核反応 / 静止崩壊ニュートリノ / 電子ニュートリノ検出 / 超新生爆発ニュートリノ / 超新星爆発ニュートリノ / 男子ニュートリノ検出 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで良い検出技術が存在していなかった40MeV程度の低エネルギー電子ニュートリノ(νe)を検出するための実験技術の基礎開発を行う. 具体的には,J-PARC研究所のMLFビームラインから発生するμ+が静止崩壊して発生するパルス状のνeを用いて,断面積が大きいと予想される鉛とνeの反応断面積を,鉛-プラスチックシンチレーターサンドイッチ検出器で検出することにより測定する. この実験技術が確立することにより,これまで不可能だった,νeによる低エネルギーニュートリノ振動の測定や超新星爆発ニュートリノの検出などを行うことができるようになり,新しいニュートリノ研究領域を開くことができる.
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研究実績の概要 |
(1)J-PARC MLFの前方遮蔽体上部でのバックグラウンドとシールド効果の測定 2022/6/14~6/24にMLFの前方遮蔽体上部で,NaI検出器と3Heプロポーショナルカウンターを,鉛ブロック,パラフィンブロック,ポリエチレン板,ボロンシードなどで,構造を変えながら囲うことにより,γ線,高速中性子,速中性子,熱中性子バックグラウンド及び,それらに対するシールドの効果の測定を行った.その結果,前方遮蔽体上部では,バックグランド量が多く,十分にシールドすることが困難であることが確認された.また,バックグラウンド量が隣のビームラインの中性子ビームシャッターのON/OFFに依存することがわかり,バックグラウンド量が時間的に不安定で統計的に差し引くことが難しいことが分かった.これらの測定の結果,ニュートリノ検出器の位置を前方遮蔽体上部からビームライン上に変更し,さらにシールドの強化を行うことを決定した. (2) ニュートリノ検出器の制作 (1)の測定結果を元にし,バックグラウンド低減のための検出器改造の設計を行い,シールド効果の強化のための追加のポリエチレン板やボロンシートなどの購入を行い,検出器に取り付けた.このようにして東北大学の実験準備室で本番の1/2スケールのテスト検出器を組み上げた.また,北里大学では,シンチレーターの読み出し装置の制作,信号読み出し用電子回路回路の構築及び調整などを行った.これらの予期していなかった物品調達と作業が必要となったので,テスト検出器の準備完了が,2023年3月と当初より遅れた. このテスト検出器は2023年4月にJ-PARC,MLFに移設し,ビームによるデータを取得する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたビームによるニュートリノ検出実験は,本年度前期のバックグラウンドとシールド効果の測定により,検出器の設置位置の変更,放射線シールドの強化などを行う必要が生じ,検出器改造部分の新たな設計と想定していなかったシールド材の調達及び取り付け作業による遅れのため2023年度初頭に延期したため.
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今後の研究の推進方策 |
2023年3月に準備を完了したテスト検出器は,プラスチックシンチレーターで鉛板を挟んだ実際の検出器と同じ構造を持つ.このテスト検出器を4月よりJ-PARC MLFのビームラインに設置し,バックグラウンドの測定とともに,期待されるニュートリノ信号パターンである,遅延同時計測で実際にニュートリノと鉛の反応の検出を試みる.検出器の設置位置の変更に伴い,ベースラインが2倍になったため,前方遮蔽体上に比べニュートリノ反応数が1/4になるが,ビームに関係したバックグラウンドの遅延同時計測での先発信号と後発信号もそれぞれ1/4になるため,ビーム由来の無相関のバックグラウンドは,ニュートリノ信号に対して相対的に1/4に減少することが期待される.さらにシールドを強化しているため速中性子などのバックグラウンドも減少していることが期待できる.もしバックグラウンドが十分低く,反応断面積が理論の予想どうりならば,実際にニュートリノと鉛の反応の検出を行うことができる可能性がある.
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