研究課題
基盤研究(A)
ほとんどの銀河の中心には超巨大ブラックホール(SMBH)が存在する。SMBH周辺には、降着円盤、コロナ、トーラスといった構造体があるとされているが、そのほとんどは直接撮像されたものではない。特に中心まで見通せるX線観測は重要であるが、現存の装置では解像度(角度分解能)が圧倒的に不足する。我々は、従来のX線反射望遠鏡とは全く異なる概念、構造のX線天体撮像装置MIXIMを発明し、天文用X線装置として世界一、0.1秒角をきる角度分解能を達成している。本研究では、超小型衛星から100mの編隊飛行(サブ秒角から0.01秒角まで)に、共通して利用可能MIXIMのユニット開発を行うことを主目的にしている。
多重像X線干渉計(MIXIM)の開発にあたり、昨年度までの課題の一つが撮像系としての有効面積であった。MIXIMとは、本質的にはマルチピンホールカメラであり、フレネル回折による像のぼけをタルボ干渉により防ぐというものである。昨年度までは、2枚の回折格子の位相を90度変えて重ね合わせて使用していたので、開口面積に対してX線の透過する面積はわずか4%程度になるという問題があった。そこで我々は、2枚の回折格子の代わりに、コード化マスクパターンを周期的に並べる多重コード化マスクを発案した。開口率が約50%の多重コード化マスクを計4種類製作し、これらを用いた実験をSPring-8 BL20B2において実施した。これらの実験で、多重コード化マスクに対してもタルボ干渉が起こることをはじめて実証した。これにより有効面積は、直交格子の場合に比べて15-26倍と、大幅に向上した。得られた干渉像を最適周期で重ねあわせた像に対してデコードを行い、像の再合成に成功し、角度分解能0.2秒角程度が得られた。MIXIMの検出器としては可視光用のCMOSセンサーを用いている。これまでの実験では、CMOSメーカー提供の検出器回路システムを用いていた。今年度は我々自身でMIXIM用に最適化した回路システムを開発し、これを用いて初めて放射光実験を行った。その結果、問題なくデータ取得が行えることを確認した。実験を通じて回路システムの改良点を洗いだせたことも、今年度の収穫の一つといえる。さらに、検出器の放射線体制の調査も行った。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
令和2年度が最終年度であるため、記人しない。
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Proceedings of the SPIE
巻: 11444
SPIE proceedings, Space Telescopes and Instrumentation 2020: Ultraviolet to Gamma Ray
巻: - ページ: 152-152
10.1117/12.2560772