研究課題/領域番号 |
20H00182
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分16:天文学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
坂井 南美 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70533553)
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研究分担者 |
野村 英子 国立天文台, 科学研究部, 教授 (20397821)
花輪 知幸 千葉大学, 先進科学センター, 特任教授 (50172953)
大橋 聡史 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任助教 (50808730)
奥住 聡 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60704533)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2020年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
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キーワード | 原始惑星系円盤 / 星間塵 / 分光 / 原始星 / 電波天文学 |
研究開始時の研究の概要 |
特に若い原始星L1527について、化学診断を通したエンベロープ・円盤構造の同定、円盤のワープ構造の発見など、独自の手法による成果を挙げてきた。このような初期円盤構造は、原始惑星系円盤で捉えられているリングやスパイラル構造、また、系外惑星における軌道面の多様性の起源の端緒を捉えたものであり、より多くの初期円盤の観測でその一般性を検証することが求められる。数auスケールでの円盤構造の高分解能観測によりこの課題に応えるとともに、多波長観測により、ダスト成長を円盤構造形成過程との関係から解明する。これらを通し、"原始星進化の過程で、惑星形成がいつ始まるか"という問題を提起し、その大要を明らかにする。
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研究実績の概要 |
動的な形成過程にある初期の原始(惑星系)円盤の構造と進化、および、進化に伴うダスト成長を解明するために、下記を行った。 1)【ダスト観測】アメリカ国立電波天文台(NRAO)のVLA望遠鏡で、Class0/I段階の原始星まわりにおける初期円盤の詳細構造を探るための観測を実施した。一方、アルマ望遠鏡において、同様の観測提案を短い波長帯で予定していたが、COVID19のために約1年間アルマ望遠鏡が稼働停止したため、遅れて今年度観測提案を行った。また、昨年度までに得られたデータから、若い円盤で既に星間塵が付着成長をはじめ、そのために初期円盤にリング構造が作られている可能性を指摘し、それを示唆する成果を得た(L1489原始星円盤、投稿済)。2)【円盤形成モデル】まだ原始星へガスが降着を続ける中で形成される円盤の描像を明らかにするため、原始星へのガス降着の数値計算手法を開発した。原始星コアTMC-1Aで観測されるCS分子輝線の青方偏移異常や、空間的に非対称なSO分子輝線を説明する流体力学モデルの作ることに成功し、国際会議で発表すると共に論文を投稿した。3) 【円盤進化モデル】磁気流体力学的に降着する原始星円盤・原始惑星系円盤の温度分布を導く理論モデルを構築し、温度が円盤年齢およびダストのサイズにどのように 依存するかを系統的に明らかにした。4) 【スノーライン観測】スノーラインの内外で気相・固相の水の存在量が大きく変化するが、水分子のダストからの脱離・吸着に加えて、化学反応も存在量に影響を及ぼす。X線による分子の解離の影響に着目し、水やその他の分子の存在量が水のスノーライン内外で変化する様子を調べ、原始星天体の水分子の観測結果との関連を議論した。5) 【実験】ダストの輻射スペクトルを明らかにするための実験を行った。分光計およびSpring8での実験を遂行中である(研究員1名雇用)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID19のために、アルマ望遠鏡が2020年度すべてで稼働を停止していた。この関係で、昨年度アルマ望遠鏡へ提出するはずの新規観測提案書の提出を今年度行った。想定よりも早く一部データが届いたため、急ぎ解析し、論文にまとめることができた。また、既存のアーカイブデータを用いた研究推進も模索し、論文をまとめた。したがって、観測研究は概ね順調といえる。モデル計算研究は想定以上に進展し、論文も投稿することができた。他方、放射形分光計を用いた実験については、実験に必要な物品の輸入が一部できなくなった等の困難が依然としてある。そこで、代わりに、雇用研究員らとともにSpring8へのダスト輻射測定の提案などを行うことでダストの輻射スペクトルの研究を推進している。
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今後の研究の推進方策 |
国際共同利用観測装置は、通常時に近いレベルで運用が開始されたため、予定通りの計画を進める。非常に若い円盤での塵の付着成長がどのくらい進んでいるのかの詳細観測、および、水に加えてCO2のスノーライン観測計画が想定より早く進んでいるため、大きな成果が期待される。一方、実験については、可能な範囲で進めつつ、コロナやウクライナ情勢の展開次第では、代替案(さらなるSpring8測定など)を模索する。
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