研究課題/領域番号 |
20H00189
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉山 和正 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40196762)
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研究分担者 |
吉朝 朗 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 特任教授 (00191536)
湯葢 邦夫 九州大学, 超顕微解析研究センター, 学術研究員 (00302208)
川又 透 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90638355)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,070千円 (直接経費: 33,900千円、間接経費: 10,170千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 27,040千円 (直接経費: 20,800千円、間接経費: 6,240千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | Mineral / Structure / synchrotoron / AXS / singularity / 鉱物 / 特異構造 / 放射光 / 異常散乱 / ランダム構造 / structure / anomalous scattering / disordered structure / diffuse scattering / approximant / 結晶構造 / 秩序化 / 地球惑星環境 / mineral / synchtron radiation / X-ray diffraction / spinel / pentlandite / はやぶさ / singurality / meteorite / metamict |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,最新鋭の散乱強度マッピング装置と波長選択性や偏光性を積極的に利用できる高輝度放射光X線源をドッキングすることによって,ブラッグピークの隙間空間に表現される鉱物の特異構造を解明することを目的とする.特異構造は,材料科学関連分野においてナノメータサイズのクラスター構造が発現する特異な物性の制御の切り札として注目を集め,次世代日本先導の材料素材創生プログラムのエンジンとなることが確実である.
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研究実績の概要 |
本研究は,最新の3次元散乱強度マッピング装置と波長選択制性や偏光性を積極的に利用できる高輝度放射光X線源をドッキングすることによって,逆空間に表現される鉱物の特異構造を解明することを目的とする.令和2年度は,合金系試料に存在するの複雑構造の解明にデザインされている既設装置に,惑星活動の履歴を記するケイ酸塩鉱物や燐酸塩鉱物の特異構造の解析に不可欠な散漫散乱や長周期構造の高分解能解析に有効なCu線源を導入した.そしてAl-Mn-Co系において,元素の秩序化配列にともなう長周期近似結晶の構造を解明することができた.また硫化鉱物に関しては,放射光源を併用することによってスピネル構造およびペントランダイト構造に記録される特異な元素秩序化とその温度依存性に関しての解析に成功している.鉱物に記録される特殊構造の解析には,たとえ原子番号が隣り合う元素が共存する場合でも,的確に目的元素の環境構造を解明できるX線異常散乱法が有効である.令和3年度には,ハイブリッドピクセル検出器を搭載する特異構造解析システムを,RIGAKU Synergy CUSTUMを基盤に設計し物質構造科学研究所BL-6Cに設置完了した.本システムの稼働によって,merrillite系化合物の特殊構造と発光活性元素の局所構造の解明,生成環境が異なるkamaciteおよびtaenite合金の規則度の解析に加えて,結晶構造中に電子状態が異なる元素が共存するaxinite, babingtoniteやilvaiteなどに関しては,Fe2+およびfe3+の分布を実験的に決定することに成功している.また本研究プロジェクトは,ブラックピークの隙間空間に表現される鉱物の特異構造に着目をすることもそのひとつの特徴である.現在,リン酸塩鉱物,マイクロポーラス系物質,含水鉱物を対象に,観測される散漫散乱から高次特異構造の解明を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイブリッドピクセル検出器を搭載する特異構造解析システムを設計し,物質構造科学研究所BL-6Cに設置した.同時に,逆空間の散乱強度情報のエネルギー依存性を3次元的に測定するための四軸回折装置を新システムと併用するため,2台の装置の同時稼動を可能とする架台の整備も行った.研究計画に記載した,merrilliteの特殊構造や関連する光特性の測定,生成環境が異なるkamaciteおよびtaenite合金の規則度の解析,Fe-Ni系硫化物試料の解析を通じて,整備された装置が予想通りの機能を示すことが確認できた.さらに,研究代表者が長年その開発に従事した,隣り合う元素が共存する場合でも的確に目的元素の構造情報を抽出できる異常散乱法を拡張し,電荷バレンスの情報も得られることを確認し学会報告も行った.一方,sodalite-nosean系鉱物に存在する反位相境界構造と長周期構造の解明に関しては,散乱強度の測定に成功したもののその特異構造の解明には至らず継続的な研究が必要である.総合的に考え,”おおむね順調に推移している”と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度の実験室系解析システムへの長波長線源の導入を低エネルギーX線を用いた異常散乱法を用いた実験の可能性の確認,そして令和3年度の最新鋭の特異構造解析システムを完成計画はおおむね順調に推移した.そして,作製した測定システムの性能評価を含めて,研究計画に応じて鉱物に存在する特異構造の解明とその物性評価を推進することができた.令和4年度は,本システムのフル稼働を前提に,現状測定可能なNi吸収端より高エネルギー側に拡張できる位相子の開発とその整備,さらに高エネルギーの異常散乱の実現に関しては,物質構造科学研究所のBL-10Aの利用およびSPring-8の利用を視野に入れた実験環境の整備に努めたい.また,本研究の主眼とする鉱物に存在する特殊構造に関しては,これまでの研究成果を活かして,硫化物鉱物,合金およびホウ化物に存在する特殊構造とその生成プロセスとの関係を解明したい.さらに,材料科学への展開に関しては,造岩プロセスの末期あるいは高圧などの特殊環境において,通常観察できないマイクロポーラス型空隙構造をもつ特殊な鉱物が,電池材料への応用可能性に大きな期待が持てることを発見したので,電池関係材料素材分野への貢献を目指した研究展開を進めたい.
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