研究課題/領域番号 |
20H00190
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
橋爪 光 茨城大学, 基礎自然科学野, 教授 (90252577)
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研究分担者 |
山中 千博 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10230509)
石田 章純 東北大学, 理学研究科, 助教 (10633638)
藤谷 渉 茨城大学, 基礎自然科学野, 准教授 (20755615)
鹿山 雅裕 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (30634068)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2020年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 窒素 / 同位体 / アンモニア / 分光分析 / ハイドレート / 隕石 / 有機物 / 段階燃焼分析 / CRDS / 窒素同位体 / 始原隕石 / イメージング分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、初期太陽系における太陽系外惑星領域から地球に向けた揮発性元素の物質輸送を追跡するため、代表的な揮発性元素の一つである窒素同位体に注目した多面的取組を進める。本研究では、始原隕石で見られる隕石種毎に著しく異なる窒素同位体組成の中から、隕石形成場の温度環境を反映した変動情報を抽出するための取り組みを進める。更に、隕石と彗星の代表的な窒素含有物質の起源的関係を同位体組成の比較から明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究では、初期太陽系における太陽系外惑星領域から地球に向けた揮発性元素の物質輸送を追跡するため、代表的な揮発性元素の一つである窒素同位体に注目した多面的取組を進める。近年の研究の進展により、始原隕石の一部は、彗星同様に、小惑星帯よりはるかに太陽から遠い領域で形成したことが示唆され、彗星と隕石の区別が不明瞭になりつつある。本研究では、始原隕石で見られる隕石種毎に著しく異なる窒素同位体組成の中から、隕石形成場の温度環境を反映した変動情報を抽出するための取り組みを進める。更に、隕石と彗星の代表的な窒素含有物質の起源的関係を同位体組成の比較から明らかにする。 一つ目の取組として、始原隕石や地球帰還小惑星試料の段階燃焼質量分析手法を駆使し、微惑星形成前の始原同位体情報を読み取る。昨年度以来、はやぶさ2により地球に持ち帰られた小惑星Ryugu試料の分析を進めた。その結果、化学組成や組織がRyugu試料と類似しているCIコンドライト隕石とRyugu試料の間に、窒素同位体組成や濃度に顕著な違いがあることがわかった。このことから小惑星上で窒素を始めとした揮発性元素の移動が起こっていたことがわかった。本結果を速報したScience誌論文に続き、詳細に記載したフルペーパーが最終受理され、既に公開されている。 二つ目の取組として、宇宙機に搭載可能な窒素同位体その場分析装置の基礎開発を進める。冷たい太陽系を代表する窒素含有固体物質であるアンモニアの同位体組成を測定するためのCRDS分析装置の試作と原理実証を進める。これまでに、プロトタイプ装置を用いアンモニアの窒素同位体分析に成功し同位体検量線が得られている。現在、同分子の水素同位体分析に向けた技術開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
宇宙機に搭載可能な窒素同位体その場分析装置の基礎開発遂行を妨げる不測の事態が生じたため、その取り組みに若干の遅れが生じている。なお、一つ目の取組である、始原隕石や地球帰還小惑星試料の段階燃焼質量分析は予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
一つ目の取組である、始原隕石や地球帰還小惑星試料の始原同位体情報の読み取りに関連しては、Ryugu試料や始原隕石内に存在するQ相と呼ばれる揮発性元素担体中の窒素同位体組成や希ガス・窒素元素比などを解読し、太陽系内の様々な惑星物質に共通に含まれる揮発性成分を追求する取り組みを本格化させる。現在、JAXAより追加配分を受けた試料数個をそれぞれ分割し、各試料の窒素同位体分析、希ガス分析、有機物分析ならびに岩石鉱物学的観察を既に開始しており、まもなく個別データを突き合わせ総合的議論を始める予定である。 二つ目の取組である、宇宙機に搭載可能な軽量コンパクトかつロバストなCRDS同位体分析装置の開発については、前年度に成功したアンモニア分子の窒素同位体分析に引き続き、今後はアンモニア分子の水素同位体分析並びに水分子の酸素同位体分析技術の確立に取り組む。
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