研究課題/領域番号 |
20H00195
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
関根 康人 東京工業大学, 地球生命研究所, 教授 (60431897)
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研究分担者 |
McGlynn Shawn・E. 東京工業大学, 地球生命研究所, 准教授 (10751084)
庄司 大悟 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 招聘研究員 (10831109)
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (90444207)
石上 玄也 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90581455)
GUTTENBERG NICHOLAS・RYAN 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (10747132)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,630千円 (直接経費: 35,100千円、間接経費: 10,530千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2021年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2020年度: 20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
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キーワード | 宇宙・惑星化学 / 固体惑星探査 / 陸域水循環・物質循環 / 大気圏・水圏化学 / 生物圏地球化学 |
研究開始時の研究の概要 |
火星には現在、液体の水が存在するのか。いつどこに出現し、そこに生命はいるのか―この問いに答えることは、惑星科学に留まらず、宇宙生物学や宇宙工学にまたがる課題である。本研究では、この問いに答えるため、地下凍土層の融解により形成されている可能性がある、火星の急斜面に出現消失を繰り返す暗い筋模様(Recurring Slope Lineae, RSL)に着目し、その地球上のアナログ地形の調査を行う。詳細な地質・微生物調査と、無人観測ステーションによる長期観測、機械学習による地形パターン認識により、RSL形成メカニズムの解明、RSL付近の生態系推定、水の活動を伴う火星RSLの探索を行う。
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研究実績の概要 |
火星における液体の水の存否、生命生存可能性は長年の謎である。本研究では、これに答える鍵が、火星斜面上に出現・消失を繰り返す暗い筋模様(Recurring Slope Lineae: RSL)にあると考える。本研究では、乾燥寒冷なモンゴル国ゴビ・アルタイ地域に見つかるRSLの地球アナログに着目し、調査・観測を行う。地球RSLの地質調査と現地無人観測ステーションによる長期観測、機械学習による地形パターン認識により、1)RSL形成メカニズムの解明、2)RSL付近の生態系推定、3)水の活動を伴う火星RSLの判定・探索を行う。 新型コロナウィルスによる海外調査の制限から、当初の野外調査に関する計画を変更し、研究活動を行った。調査地域の国際共同研究者に依頼し、調査地域の調査、サンプリングを行ってもらったため、計画に致命的な影響はでていない。 1)RSL形成メカニズムの解明については、無人観測ステーションのシステム設計と開発を引き続き行った。日本国内の類似野外環境でステーションを設置し、実地テスト をくり返すことでノウハウを蓄積した。また、モンゴルで採取した土壌試料や湖水の化学組成から、微量元素を含む物質循環や濃縮プロセスを明らかにした。水質季節変化データを再現するモデルを構築し、この知見を氷衛星や初期火星の水質復元へと適応した。 2)RSL付近の生態系推定については、国際共同研究者の調査により採取・輸送された土壌サンプルからDNA抽出およびシーケンス解析を行った。 3)水の活動を伴う火星RSLの判定・探索については、リモートセンシングデータの収集・解析を進め、機械学習に用いるためのカテゴライズを完了した。機械学習による地形分類を火星カオス地形に適応したところ、成因別に高再現性をもって自動分類できるモデルを開発することができ、これを火星全球に展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査については、新型コロナの影響により実施が見送られたが、国際共同研究者の協力により、継続的なサンプリングやモニタリングを継続して行うことができた。 そのため、致命的な遅れはなく、研究を順調に進めることができている。本年度は、乾燥域の湖の水質季節変化を説明する水質モデルを構築し、高精度の初期火星水環境を復元することができた。 また、火星表面画像の機械学習については、膨大な量の画像データの収集とカテゴライズ、および任意画像の分類のステージに計画通り進むことができた。以上により、目標とする研究内容を順調に達成しつつあると言える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの影響により現地調査は制限に対して、国際共同研究者による継続的なモニタリングとサンプリング、さらには観測ステーションの設置を依頼し、研究の遅延が生じないようにする。水質復元については、微量元素の物質循環や濃縮プロセスを記述するモデルを構築しつつ、冬季の凍結時の水質変化も合わせてモデル化できるように発展させる。室内実験では、RSLの形成における塩析出の役割を明らかにするべく、微小領域の分析を行う。機械学習については、カオス地形やポリゴンといった周氷河地形に関して分類可能なニューラルネットワークを構築する。構築したニューラルネットワークを用いて、火星上のカオス の分類を行っていく。
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