研究課題/領域番号 |
20H00198
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三宅 亮 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10324609)
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研究分担者 |
治田 充貴 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00711574)
野村 龍一 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40734570)
大村 訓史 広島工業大学, 工学部, 准教授 (90729352)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,890千円 (直接経費: 35,300千円、間接経費: 10,590千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 21,970千円 (直接経費: 16,900千円、間接経費: 5,070千円)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 高圧その場観察 |
研究開始時の研究の概要 |
地球深部はその構成鉱物中に海水の数十倍もの水を蓄え、地球全体の水循環に最も大きな役割を担うと考えられている。なかでも沈み込むプレートに含まれる含水鉱物(FeOOH)が、下部マントルでFeO2とH2として分解して水(水素)を放出するのか、それとも核-マントル境界まで安定に存在し金属鉄からなる核に水素を供給するのかについて、近年大きな論争になっている。本研究では、高圧高温その場電子顕微鏡を新たに開発し、さらに電子線を用いた結晶構造中の水素位置の決定法を確立する。この世界初の革新的技術により、地球深部条件下でFeOOH/FeO2+H2のどちらが安定なのかを決定する。
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研究実績の概要 |
本研究では、高圧高温その場電子顕微鏡技術を新たに開発することを目的とし、地球深部条件下でFeOOHの安定性の議論を行うことを目指している。 2022年度は前年度から引き続き、透過型電子顕微鏡内で高圧力を発生させるための高圧力発生機構の加工および試料(ダイヤモンド、Fe、Si、Al、MgOのピラー状試料)加工を、集束イオンビーム装置(FIB)を用いて行った。この試料を用いて、2020年度に購入したピコインデントホルダーを用いて、透過型電子顕微鏡内でその場高圧実験を荷重制御により行った。実験は、20μNから、最大1000 μNまでの荷重で行った。電子回折図形を、圧縮実験の前と圧縮実験中に取得した。実験終了後に解析を行い、得られた圧縮率からの応力(圧力)の推定を行った。その結果、Feのピラー状試料に対する実験では、圧縮方向に約14 GPaの応力がかかっていると推定でき、アルファ相からイプシロン相へ相転移している可能性が得られた。 しかし、一方で、その場高圧実験中にダイヤモンドがわれてしまうなどの課題が残った。さらに前年度開発した電子顕微鏡内でナノ電子プローブを走査することにより電子回折パターンの空間変化を解析する手法を用いて、局所領域の歪みを計測する方法では、Feでは試料が加圧中に傾斜することにより、十分な回折点が得られないなど、課題が残った。 また研究を遂行する上で重要な一つである高圧条件下での高温加熱機構が、本研究費のみでは組み込めない可能性が高いため、継続的に検討中である。その中でレーザー加熱の可能性について検討を行ったが、安定して高温を保つことが難しく、また温度の測定が困難であるなどのため本科研費研究期間内での実現は困難であることがわかった。 他方、こうして取得したFIBを用いた微細加工技術は、たとえばはやぶさ2が持ち帰ったリュウグウの試料作製など幅広い分野へと生かされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料作製方法の検討や観察、分析に必要な技術・ソフト開発、静的・動的な実験などは計画通り進んでいる。また、ピコインデントホルダー導入後の加圧実験は順調にはじめており、成果が出始めている。一方で、高圧条件下での加熱実験については本研究費のみでは組み込むことが非常に難しいということがわかった。そのため検討を重ねている。1つの可能性としてレーザー加熱を検討し予備実験を行い、解析を行ったが色々な課題があり、本研究での実現は困難であると判断した。またそのため、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)などを用いることの検討をはじめた。一方で、前年度直面した試料がダイヤモンドの土台から外れるという課題に対しての解決策では、ダイヤモンドが割れるという新たな課題が生じ、また予定した外部での実験ではコロナ禍のため実験を中止せざるを得ないこともあった。そのため、「やや遅れている」、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続きピコインデントホルダーを用いた加圧実験をさらに推進していく。特に高荷重のとき試料が土台のダイヤモンドからはずれてしまう、ダイヤモンドが割れてしまうケースがあるので、その点を改良することにより、より効率的に実験ができるようにする。それとともに、圧力推定方法や観察、分析技術を発展させていくことにより、その場観察、分析を可能とするための技術開発もあわせて推進していく。 一方、研究を遂行する上で重要な一つである高温加熱機構が、本研究費のみでは組み込むことが困難であるため、他の研究費を申請するなどして実現を考えているとともに、MEMSなどを用いた新たな手法開発の道筋をつけたいと考えている。 また、高圧力その場電子エネルギー損失分光は、当初予定していた装置では達成できないことがわかったため、他の装置を使用することを検討している。
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