研究課題/領域番号 |
20H00229
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青井 伸也 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (60432366)
|
研究分担者 |
中陦 克己 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60270485)
荻原 直道 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70324605)
國府 寛司 京都大学, 理学研究科, 教授 (50202057)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2022年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2021年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2020年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
|
キーワード | ニホンザル / 直立二足歩行 / 不安定性 / 神経筋骨格モデル / 四足歩行 / 二足歩行 / 歩容遷移 / 非負値行列因子分解 / 筋シナジー / 最適化 / 予期的姿勢調節 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトは進化の過程で直立二足歩行を獲得したが、その起源は未だ不明確である。ニホンザルは訓練により直立二足歩行を獲得でき、ヒトの直立二足歩行の起源を理解する上で格好のモデルである。また他の哺乳類とは違って体軸を斜めに向けた四足歩行をし、その結果として前後に姿勢が不安定な期間があることを近年明らかにした。本研究ではこの成果に基づき「四足歩行に内在する前後の姿勢不安定性を利用して直立二足歩行を獲得する」という作業仮説を立て、神経生理学、進化人類学・生体力学、システム工学、力学系理論を基盤とする多角的な研究アプローチからこの仮説を検証し、不安定性という力学に基づく独自の視点から直立二足歩行の起源に迫る。
|
研究実績の概要 |
令和3年度も昨年度に引き続き、神経生理学、進化人類学・生体力学、システム工学、力学系理論を基盤とする研究グループが共同して、研究目的の遂行に向けて研究を推進した。 特に、無拘束なニホンザルの二足歩行時と四足歩行時に一次運動野・下肢領域から単一神経細胞活動を記録し、それぞれの歩容時の細胞活動様式を比較した。その結果、二足歩行では歩行周期中の着地相、特に両脚支持期に発射頻度のピーク値を示す細胞が有意に増加することが明らかになった。この結果より、ニホンザルの一次運動野は歩行の遂行において、支持脚の間での円滑な重心の受け渡しに寄与することが示唆された。 さらに、昨年度に無拘束なニホンザルの四足歩行時と二足歩行時のそれぞれで計測した筋電図を、非負値行列因子分解を用いて同定した時間パターンと空間パターンを四足歩行時と二足歩行時で比較し、それぞれの歩容に共通する時間パターンや空間パターン、それぞれの歩容に特異な時間パターンや空間パターンを調べた。その結果、ニホンザルの四足歩行と二足歩行の運動制御にかかわる筋シナジーの詳細な時空間構造が明らかになった。 そして、この筋電図の筋シナジー解析より明らかにした時間パターンと空間パターンを参考にして昨年度に構築したニホンザルの神経筋骨格モデルの動力学シミュレーションにおいて、パラメータ最適化の計算手法を用いることで、四足歩行から二足歩行への安定な歩容遷移を成功させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニホンザルの神経活動を記録し、それぞれの歩容における役割が明確になってきた。また、ニホンザルの神経筋骨格モデルの動力学シミュレーションを用いて、本研究における主目的である四足歩行から二足歩行への遷移を実現できるようになったため。
|
今後の研究の推進方策 |
ニホンザルの四足歩行と二足歩行だけでなく、歩容遷移時の神経活動を記録して、その役割を明確にしていく。また、ニホンザルの神経筋骨格モデルに基づく動力学シミュレーションにおいて、四足歩行における不安定性が、二足歩行への歩容遷移にどのように寄与するのかを調べていく。
|