研究課題/領域番号 |
20H00230
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分20:機械力学、ロボティクスおよびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
倉爪 亮 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70272672)
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研究分担者 |
中嶋 一斗 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (20908420)
宮内 翔子 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (40828555)
河村 晃宏 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (60706555)
安 ち 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70747873)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2024年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2023年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 漂着プラスチックごみ / ロボット / 破砕プラスチック / レーザスキャナ / 清掃ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
特に九州周辺の離島の海岸で深刻な問題である破砕プラスチックごみに対し、検出から、移動、回収までの工程を自動あるいは遠隔で実行するロボットシステムの研究開発を行う。破砕プラスチックごみは1cm程度以下と小さく、また砂や貝殻と交じり合っているために、ロボットに搭載したカメラ等では検出は困難である。そこで3D LiDARから得られるリフレクタンスデータに着目した破砕プラスチックごみの検出原理を確立する。また準天頂衛星や地形計測群ロボットなどを活用した破砕プラスチックごみの回収ロボットを複数企業と協力して開発するとともに、在宅者やボランティアが遠隔地から作業に参加できるシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では研究項目①3D LiDARの高精度化と破砕プラスチックごみの検出手法の開発、および研究項目②破砕プラスチックごみ回収ロボットシステムの開発の2つの研究項目を設定し、5年間で研究開発を行う。令和5年度は、研究項目②に対して研究開発を進め、昨年度に開発した網目状のふるい機構を用いたふるい型破砕プラスチックごみ回収機構の改良を行った。特に海岸での砂のすくい上げとふるい機構への誘導に重要なツメ機構について、様々な含水比の砂に対してツメの角度、大きさを変えて、屋内実験、および海岸砂浜での実験を繰り返し、最適角度や長さを有するツメ機構の形状を決定した。また、得られた最適なツメ機構を製作し、ふるい機構と結合して海岸砂浜で破砕プラスチックごみの回収実験を行った結果、製作したツメ機構では、含水状態によっては砂の運搬が不十分な場合があり、新たにツメ機構の上部にクローラタイプの砂運搬機構を設計、設置した。開発したツメ機構および砂運搬機構と、昨年度製作した網目状のふるい機構を組み合わせ、糸島市内の海岸でごみ収集実験を繰り返し、破砕プラスチックごみの回収性能を確認した。さらに、作業現場で安全を確保するための環境認識手法として、3D LiDARを用いた周囲の作業員の認識手法、深層学習による3D LiDARの高解像度化技術、および周辺物体の高精度な識別技術などを開発した。また携帯型モバイルルータと公衆5G SA (Standalone)網、およびセキュアな閉回線(DOCOMO MEC)を利用して、低遅延で制御指令や映像を送受信するシステムを開発し、遠隔地から携帯公衆回線を使用した画像伝送および制御指令の伝送実験を行った結果、画像および制御指令の遅延が1秒程度であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロプラスチック回収機構に対して、昨年度に開発した回収能力の高いふるい型マイクロプラスチック回収機構の性能向上を目指し、新たに砂をすくい上げるツメ機構、および砂を強制的に運搬する砂運搬機構を設計、製作した。また携帯型モバイルルータと公衆5G SA網、およびセキュアな閉回線を利用して、低遅延で制御指令や映像を送受信するシステムを開発し、遠隔地から携帯公衆回線を使用した画像伝送および制御指令の伝送実験を行った。以上のことより、おおむね計画通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
現在のツメ機構、砂運搬機構、およびふるい型破砕プラスチックごみ回収機構で砂のすくい上げとマイクロプラスチックの分離は実現できたが、ペットボトルなどの比較的大きなゴミが分離の妨げとなる場合があった。また含水率の高い砂は網目状のふるい機構で目詰まりを起こす場合があった。そこで、まず中型のゴミを分離して回収し、その後に砂とマイクロプラスチックの分離する機構を開発する。また目詰まりを防止するためのブラシ状クリーニング機構を新たに追加する。さらに、開発したロボットをけん引するための大型ロボットを購入し、昨年度に開発した携帯公衆回線を使用した遠隔操縦機構と組み合わせ、遠隔地からROSにより制御できるように改修する。最後に両者を組み合わせ、実際の海岸で中型ごみ、およびマイクロプラスチックごみの回収実験を行う。
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