研究課題/領域番号 |
20H00231
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
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研究分担者 |
片桐 崇史 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (90415125)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,200千円 (直接経費: 34,000千円、間接経費: 10,200千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2021年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2020年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | 赤外分光 / 光音響分光 / 光熱偏向分光 / 血糖値測定 / 光熱偏向分光分析 / 光音響分光法 / 非侵襲血糖値測定 / 光熱偏向分光法 / 赤外分光法 / 光熱変換分光法 / 量子カスケードレーザ |
研究開始時の研究の概要 |
血糖,コレステロールなどの血中成分を,指や口唇でセンサ部を触れただけで,非侵襲で精密に分析を行う装置を開発することを目的とする.本研究では,中赤外光を生体試料に垂直に入射し,光吸収により発生する「熱」または「音響波」を検出する.これにより,光の侵入深さを従来のATR法よりはるかに大きい20ミクロン程度とすることが可能であり,生体組織液の成分を高精度に測定することが期待される.「熱」を検出する方法としては,熱による屈折率変化を近赤外のプローブレーザ光で検出する光熱偏向法を,「音響波」を検出する方法は,音波もしくは超音波をとらえる光音響法を用い,実用システムの実現を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は血糖,コレステロールなどの血中成分を,指や口唇でセンサ部を触れただけで,非侵襲で精密に分析を行う装置を開発することを目的とする.そのために高精度測定が期待される中赤外分光法を利用するが,中赤外光の体内への微小な侵入深さおよび微弱な光強度という問題点が大きな障壁となる.そこで,侵入深さが数ミクロンであった従来の減衰全反射(ATR)分光法に替えて,生体試料に垂直に光を入射し,光吸収により発生する熱または音響波を検出する新手法について検討する.この手法では光の侵入深さを20ミクロン程度と大きくとることができ,高感度化が期待される.熱検出には,熱による屈折率変化を近赤外プローブレーザ光で検出する光熱偏向法を用いるが,今年度においては従来,プローブ光を中赤外励起光の照射点で全反射するように配置していたが,この場合はアライメントずれによる影響が大きく,比較的大きいプリズムを必要とする.そこでプローブ光をプリズム表面に平行に入射する測定系を構築するとともに,小型のZnSプリズムを導入し,温度による屈折率変化が大きい,緑色光を導入することによって,良好な感度を得た.また,音波をとらえる光音響法においては,ヒトを対象とした測定を行い,採血による血糖値測定と同時に分光測定を行うことにより,血糖値の実測値と分光測定からの推定値との相関を撮ることを試みた.しかし,良好な相関関係は得られなかったため,血糖値が130mg/dlより高いか低いかの判別分析を行うことを試みた結果,推定的中率70%以上という良好な結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光熱偏向法については,ヒトを対象としたデータ収集も順調に進むとともに,小型化,高感度化が可能な新しい装置構成を得ることができた.また,光音響法においても血糖値との同時測定を行うことによるデータ収集を開始し,ある程度の血糖値推定が可能になったため.
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今後の研究の推進方策 |
光熱偏向分析法については,これまで取得してきたヒト対象データに対して,多変量解析やAIを利用した分析を進め,血糖値の推定精度の向上を行う.また,より小型で安価なシステムを構築するための検討も同時に進行する.光音響分光法については,さらに複数の被験者を対象としたデータ取得を行い,対象者間のばらつきや,測定部位,体温などが結果に与える影響について調査を行い,推定精度の向上に結び付ける.
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