研究課題/領域番号 |
20H00269
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡崎 太一郎 北海道大学, 工学研究院, 教授 (20414964)
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研究分担者 |
松井 良太 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (00624397)
岸田 明子 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (10599468)
松宮 智央 近畿大学, 建築学部, 准教授 (20454639)
高橋 典之 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60401270)
藤原 淳 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主幹研究員 (80817049)
長江 拓也 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (90402932)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
46,150千円 (直接経費: 35,500千円、間接経費: 10,650千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 24,960千円 (直接経費: 19,200千円、間接経費: 5,760千円)
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キーワード | 鋼構造建築物 / 振動台実験 / コンピュータ解析 / 耐震性能余裕度 / 倒壊挙動 |
研究開始時の研究の概要 |
設計想定を超える地震動に対する建築構造物の安全性については、科学的な検証技術は確立されておらず、実務設計でも陽に考慮されていない。この問題を解決する糸口として、鋼構造建築物が大きく変形し、倒壊にいたる非線形かつ動的な挙動を、定量的に把握するための振動台実験を実行する。連層骨組実験によって、部材破壊から応力再分配、振動特性の変化、変形の集中と増大を経て、倒壊にいたる過程を詳細に観察する。実験的に得られた挙動を精度よく追跡できるコンピュータ解析技術を蓄積し、種々の誤差に関する感度分析を実施する。目指す成果は、鋼構造建築物の耐震性能余裕度を定量的に把握するための、性能評価技術の高度化である。
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研究実績の概要 |
鋼構造建築物の倒壊過程を実験的に解明する研究目的に沿って、下記の成果を上げてきた。(1)模型実験の設計方法、柱や梁の降伏・破断挙動を測定するための計測・画像収録方法など、大変形に至る振動台実験の技術を確立した。(2)国立研究開発法人防災科学技術研究所の大型耐震実験施設で、2020年11月から12月にかけて、縮尺1/2のパイロット試験体による振動台実験を実施した。同研究所の兵庫耐震工学研究センターで、2020年12月に実施された日米共同実験に参加し、次世代型鋼構造システムを開発する研究を推進、2022年2月に実施された10層鋼構造建物の振動実験に参加し、構造部材に生じる力や変形を詳細に計測した。(3)多くの実験データを得るとともに、倒壊に至る鋼構造の非線形・動的挙動を追跡するための数値モデル化技術を開発・蓄積してきた。複数の実験から得た、鋼構造架構の非線形動的応答に関する実データを、既往の大規模振動台実験のデータと合わせて、数値解析技術の検証を進めた。破断を模擬するための現状のモデル化手法では、既往の重層架構実験で観察された、部材破断後の部材力再分配を正しく再現できないことを突き止め、今後の課題を特定した。減衰モデルの選択によって、ブレース付架構の応答変位や応答加速度が異なることに注目し、定量的な検討を進めた。(4)部材破断の再現方法を含めて、ブレース付鋼構造架構の解析手法に関する知見を蓄積し、現状のブレース付鋼構造架構が保有する耐震性能を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と実験内容が異なることもあったが、複数の振動台実験を実施し、別プロジェクトで企画された大型振動台実験に参画することで、目的に沿った実データを多く得ることができた。一方で、数値解析技術の開発を進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
最終の2023年度は、北海道大学建築都市学教室の構造実験室で、二種類の実験を実施する。まず、不静定な部分架構試験体の静的繰返し載荷破壊実験で、振動台実験で培った技術を駆使して、多数の計測機器とビデオカメラにより、個々の部材の降伏・破断に伴って、応力再分配が進行し、部材が連鎖的に破壊し、剛性と耐力が変化し、変形が増大し、最終的に架構が倒壊するまでの過程を、詳細に記録・観察する。また、2021年度に製作した、縮小連層骨組試験体と同材料・同寸法の柱梁部分架構試験体を用いて、静的繰返し載荷破壊実験を実施する。二種類の実験によって、数値解析モデルを較正するために必要な、部材単体と構造システムの耐震性能に関する、破壊に至るまでの高精度のデータを把握する。もう一方で、柱・梁・ブレース・接合部等の構造部材の崩壊挙動に関するモデル化技術を整備する。さらに、設計者・研究者の経験や恣意的判断に依存しない、客観的で自動的なモデル化方法の確立を目指して、過去の連層骨組実験、特に倒壊実験のデータを用いて、さまざまなモデル化手法の適性や適用範囲を分析する。技術的には、数理近似方法、要素の分割方法、材料則、破壊・劣化パラメータの汎用化と最適化が課題である。
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