研究課題/領域番号 |
20H00281
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
坂本 啓 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40516001)
|
研究分担者 |
戸村 崇 東京工業大学, 工学院, 助教 (10803992)
白根 篤史 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40825254)
岡田 健一 東京工業大学, 工学院, 教授 (70361772)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
46,280千円 (直接経費: 35,600千円、間接経費: 10,680千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2020年度: 26,130千円 (直接経費: 20,100千円、間接経費: 6,030千円)
|
キーワード | 宇宙構造物 / 展開構造 / 膜構造 / 小型衛星 / アレーアンテナ / ビームフォーミング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は平織りの織物上にアンテナ素子を貼付し、折り紙技術を用いて極めてコンパクトに収納できる、これまでになく軽量・高収納率の宇宙用展開アレーアンテナを、電気的位相調整機能を持つアクティブアレーアンテナおよびリフレクトアレーアンテナをそれぞれ用いることで構造への精度要求を下げる、という独自のアプローチにより実現するものである。現状、基礎概念検証レベルにある技術を、本研究期間内で宇宙実証機搭載のレベルにまで引き上げる。本構想によれば、質量・収納容積を大幅に増加することなく従来より100倍以上の面積を持つ衛星搭載アンテナを構成でき、利得で20dB、通信距離では10倍の増加を期待できる。
|
研究実績の概要 |
本研究は平織りの織物上にアンテナ素子を貼付し、折り紙技術を用いて極めてコンパクトに収納できる、これまでになく軽量・高収納率の宇宙用展開アレーアンテナを、電気的位相調整機能を持つアクティブアレーアンテナおよびリフレクトアレーアンテナをそれぞれ用いることで構造への精度要求を下げる独自のアプローチにより実現するものである。現状、基礎概念検証レベルにある技術を、本研究期間内で宇宙実証機搭載のレベルにまで引き上げる。これまでの衛星用アレーアンテナでは、アンテナ面の高い面精度要求から剛な支持構造が使用され軽量・小型化が阻害されてきた。本研究では、構造系と電気系の研究者が同一システムを同一拠点で基本原理解明から宇宙実証機への実装までを協業するコンカレントエンジニアリングを通じ、新たな解決を実現する。 2022年度は2つの課題に取り組んだ。(課題1)「折り紙ランダム面アレーアンテナ」の設計原理を体系的にまとめた。特に2点で貢献した。(1-1) 構造工学的課題解決:折り紙技術により高い収納率で収納でき、展開できる機構設計を達成し、力学的特性を解析的/実験的に解明した。(1-2) 電気工学的課題解決:平面上にないフレキシブルなアンテナ素子について、膜上で電気的に位相調整するシステムを実現した。(a) アクティブアレー、(b) リフレクティブアレー、の2つの開発を同時並行で進め、設計の方法論を示した。 (課題2) システム工学的課題解決:宇宙実証機を開発した。(a)アクティブアレーについては、JAXA革新的衛星技術実証3号機ミッションとして2022年10月に打ち上げられたが、打上げ失敗のため軌道上実験はできなかった。(b) リフレクトアレーについては50cm×50cmサイズのアンテナを展開する3Uキューブサットの開発を進めた。2022年9月に革新的衛星技術実証4号機への搭載衛星として採択された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
JAXA革新的衛星技術実証3号機ミッションに提案するアクティブフェーズドアレー無線機が、JAXA革新的衛星技術実証4号機ミッションに提案するリフレクトアレーアンテナ実証キューブサットが搭載されることとなり、研究が急激に加速した。2つの宇宙実証機会が得られたことで、参加する研究者が非常に密に活動を共にすることになり、当初の想定以上に研究が進捗した。なお革新的衛星技術実証3号機は打上げが失敗したが、本研究で開発したアクティブフェーズドアレー無線機は革新的衛星技術実証4号機において「再チャレンジ」が認められ、2つの宇宙実証が2025年初頭に実現できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
すでに打上げ機会を得られた宇宙実証においてミッションを成功させることに注力することで、確実に成果を得ることを目指す。これらの活動と並行して、2つの宇宙実証のさらにその後の宇宙実証機の提案をしていくことで、さらに研究を拡張することを行う。具体的には、(a) アクティブフェーズドアレーについては、膜全面に搭載する方法論を構築すること、(b) リフレクトアレーについては、さらに薄くしたアンテナ基板上で非平面度補償技術を実現すること、である。これらをまず地上検証モデルにより実現可能性を示し、次なる宇宙実証機会の公募に備える。
|