研究課題/領域番号 |
20H00285
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 雄二 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50344859)
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研究分担者 |
牧本 直樹 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (90242263)
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40431663)
後藤 順哉 中央大学, 理工学部, 教授 (40334031)
高嶋 隆太 東京理科大学, 創域理工学部経営システム工学科, 教授 (50401138)
山口 順之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 教授 (50371224)
田中 謙司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40431788)
松本 拓史 金沢大学, 融合科学系, 准教授 (60883163)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,720千円 (直接経費: 34,400千円、間接経費: 10,320千円)
2024年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2020年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | ファイナンス / エネルギー / 電力市場 / シミュレーション / 実証分析 / デリバティブ / 実証 |
研究開始時の研究の概要 |
再生可能エネルギー電力固定価格買取制度 (FIT) 後の新たな方式として,Peer to Peer (P2P) と呼ばれる売電手法が注目を浴びている.ところが再生可能エネルギーは,気象条件によって出力が変動し,契約通りの発電が行われない際に取引者に損失が生じる.本研究では,このような損失リスク低減化に利用可能な気象予測誤差デリバティブ,契約条件を柔軟化する先物・オプションを導入し,P2P電力取引支援リスクマネジメントシステムを構築する.また,複数ネットワークを対象とするエージェントシミュレーション,提案手法を検証するための実証実験を実施し,理論・シミュレーション・実験の高度化サイクルを築く.
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研究実績の概要 |
昨年度までの研究成果を拡張し,P2P電力市場取引に有効なデリバティブの設計や関連する手法を中心に分析を実施した.主な研究成果は以下の通りである. ①風力発電事業のボリュームリスクマネジメントに有効な標準型天候デリバティブを導入し,その取引スキームを開発した.特に,LASSO回帰に基づく取引戦略により,取引商品の種類や量を削減できることを実証し,標準化した高次デリバティブの取引が,ヘッジ効果の改善だけでなく取引関連コストの抑制にも有効であることを明らかにした. ②P2P電力取引市場において,EVだけでなくヒートポンプを保有する入札エージェント手法を提案した.また,実証実験及びシミュレーションを行い,EVとヒートポンプを適切に稼働させることでPVの余剰を吸収させることが可能となり,コミュニティ全体での再生可能エネルギーの消費割合を高めることができることを示した. ③容量市場導入の経済性について分析を行った.分析の結果,ミッシングマネーの状況下では容量メカニズムよる効果が上がり,新規電源を対象にした場合でも低い容量価格で十分な効果が得られること,また,適切な容量価格の下では,稼働率の減少に加えて電力の不確実性や容量確保割合を増加させる仕組みの構築により,容量メカニズムの効果がさらに向上する可能性を示した. ④状態空間モデルを用いた分析を行い,電力需給に影響を与える要素と考えられる発電事業者による火力発電の出力抑制,太陽光発電の発電量,気温の影響,LNG価格の高騰を確認した.また,CO2排出抑制効果が高く,人工減少都市のコンパクト化に資するライトレール設置の効果推定を,エージェントシミュレーションにて実施した. ⑤気象と電力消費の関係にも表れる2変量間の非線形な関係を推定するB-スプライン回帰において,基底関数の数に制約を付けた最適化アプローチを提案し,計算実験で実用的な改善を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎となるモデル構築はほぼ完了し,実務での応用を見据えた拡張および汎用化も順調に進んでいる.よって,研究目的については,②おおむね順調に進展している,といえる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の分析対象とするP2P電力取引に関するリスクマネジメントについて,マーケットメイカー導入によって価格変動が抑制されることが示されたが,今後はこのようなマーケットメイカーエージェントに加えてデリバティブエージェントの有効性を検証していく.また,風力発電における量と価格に依存する収益変動リスクに対しては,ノンパラメトリック手法を用いたデリバティブによるヘッジ戦略を提案したが,電力市場でより汎用的に取引するためには,他のデリバティブに対する適用手法と同様の標準化を行う必要がある.今後は,このような風力デリバティブの汎用化についてさらなる分析を進める.また,P2P電力取引データについても拡充を行い,より規模の大きな取引シミュレーションにも取り組む予定である.さらに,結果の普及のため,国内外での発表を積極的に行い,研究内容をさらに発展させていく.
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