研究課題/領域番号 |
20H00308
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松垣 あいら 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10592529)
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研究分担者 |
中野 貴由 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30243182)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,590千円 (直接経費: 34,300千円、間接経費: 10,290千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2021年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | がん転移 / 骨配向性 / 細胞間相互作用 / 細胞配列 / アパタイト結晶 / 骨質 / コラーゲン線維 / 前立腺がん / 乳がん |
研究開始時の研究の概要 |
がん転移骨は著しい骨力学機能の低下をもたらし、再骨折リスクの上昇など深刻な病態を招く一方で、その機序は依然として不明であり、有効な治療法も得られていない。骨の機能化には、骨密度以上に骨の力学機能を支配する、材料工学に基づく骨質指標である骨配向性に基づいた機能発現が不可欠である。本研究では、転移骨における骨脆弱化の要因を骨配向性に着目しつつ材料工学的手法により明らかにすると同時に、骨系細胞とがん細胞の相互作用を生物学的手法により解明し、転移骨の治療を可能とする創薬ターゲットの模索を目指す。
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研究成果の概要 |
骨に高頻度で転移する前立腺がんに代表される造骨性転移では、骨形成過剰により骨密度増加をもたらすにも関わらず骨の脆弱化を招く。このパラドックスはがん医療の現場において長年の未解決課題であり、既存の生物学的アプローチのみではがん解明に限界が存在していた。本研究では、がん転移による骨脆弱化の原理解明に材料学の立場からアプローチすることで、骨密度で説明し得ない病態が、骨基質内部の原子レベルでの骨構造制御によりはじめて解決可能であることを明らかにした。さらに骨劣化の要因となる複数のタンパク質を発見、がん転移抑制可能な創薬や医療デバイスの創成につながる大きな成果である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在までに多くのがん研究が遺伝子解析を中心とした要素還元型の生物学的アプローチに立脚してきた一方、がんは単純な分子メカニズムで理解するにはあまりに複雑であり、依然がんの根本的解決は達成されていない。本研究課題では材料学の立場から既存のがん研究に一石を投じ、がんによる骨劣化の本質理解を目的とした。がん転移は骨の細胞機能破綻をもたらし、骨基質内部の原子レベルでの微細構造(コラーゲン/アパタイト配向化組織)の形成を阻害することで骨の力学特性を劣化させる新たなメカニズムが明らかになった。この成果を用いることで、新しいがん治療薬や骨デバイス開発につながり、学術的にも社会的にも大きな意義を得た。
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