研究課題/領域番号 |
20H00320
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡野 泰則 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (90204007)
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研究分担者 |
稲富 裕光 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (50249934)
宇治原 徹 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60312641)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,370千円 (直接経費: 34,900千円、間接経費: 10,470千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
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キーワード | 移動速度論 / 情報学 / 半導体 / 結晶成長 / 数値解析 / 数値流体解析 / 人工知能 / PINNs / ベイズ最適化 / 炭化ケイ素 / 混晶半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで研究代表者が長年取り組んできた移動現象論と近年進歩の著しい情報学とを融合することにより、これまでの「ノウハウは人から人へ」といったモノづくりの概念を根底から覆し、「ノウハウはコンピューターから人へ」とパラダイムシフトする。具体的に本研究では、ノウハウの塊であるバルク単結晶作製技術に着目し、製造現場において「長年培ってきた経験」に基づく「勘」による操作(暗黙知)を数値化、定式化(形式知化)することにより、経験の浅い技術者でも最小限の試行錯誤で再現性良く高品質な結晶育成を可能とする手法の構築に取り組む。さらに「なぜその条件が最適なのか?」を解明することにより、技術の普遍化を図る。
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研究実績の概要 |
昨年度ベイズ最適化法を宇宙実験で作製した実際の試料内の成長速度、濃度分布に適用し算出した拡散係数を用い、微小重力環境下で平坦な固液界面形状を維持したまま結晶成長を行う条件を見出した。基礎式として融液内の拡散方程式、運動方程式、エネルギー方程式、結晶内のエネルギー方程式を用い、固液界面においては熱と溶質のバランス式を考慮した。成長開始時の初期温度勾配はベイズ最適化法で求め、るつぼ回転を経時的に変化させるシーケンスを強化学習により求めた。通常結晶成長時のるつぼは静止あるいは一定の回転数であるが、細かく経時的に回転数を制御することにより固液界面形状を平坦に維持した高品質結晶作製が可能となることを示した。 一方、昨年度極めて単純な形状について適用したPhysical Informed Neural Networks (PINNs)を実際の結晶成長であるチョクラルスキー法によるシリコンバルク単結晶成長プロセスに適用した。基礎式である、連続式、運動量保存式、熱伝導方程式に加え、境界条件を学習させた。学習時間に約1日を要するが、いったん学習してしまえば通常の数値解析では1計算当たり数十分から1時間程度要する計算が、わずか0.1秒程度で、しかも高精度で算出可能であることを示した。本法を用いれば結晶成長に伴う融液高さの経時的減少に付随する計算格子の再構築が不要なため、本法は実際の結晶成長の現場において、実時間解析として活用可能な技術である。加えて本法は基礎式を用いる解析全てにおいて適用可能な技術でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙環境における最適条件について提案でき、これを元に実際の地上実験における最適化への拡張を行う準備が整った。またPINNsはこれまでにないCFD革命ともいえる画期的な技術であり、本手法を使えることになったことは今後の研究進展に極めて大きな意義がある。
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今後の研究の推進方策 |
地上における高品質InGaSb結晶成長条件をベイズ最適化法を用い探索する。その際新たなパラメーターとして縦磁場を考慮する。 PINNsに関しては結晶回転や乱流などの影響も考慮しより実際の結晶成長に近い条件に拡張する。またより複雑であるTSSG法によるSiC結晶成長に拡張する。
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