研究課題/領域番号 |
20H00324
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕次 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30344401)
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研究分担者 |
関口 博史 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (00401563)
柴山 修哉 自治医科大学, 医学部, 教授 (20196439)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
46,800千円 (直接経費: 36,000千円、間接経費: 10,800千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 30,940千円 (直接経費: 23,800千円、間接経費: 7,140千円)
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キーワード | アロステリック効果 / へモグロビン / タンパク質1分子動態 / 光励起 / X線1分子追跡法 / ヘモグロビン / 1分子計測 / X線 / 1分子内部動態計測 / レーザー励起動態 / 光励起1分子計測 / X線1分子動態 / レーザー励起 / 分子内部動態 / マイクロ秒高速1分子 |
研究開始時の研究の概要 |
アロステリック現象の代表的なタンパク質が四量体ヘモグロビンHbである。Hbの4段階酸素結合には強いアロステリック効果があり、付随して起こるアロステリック転移がその根幹メカニズムと考えられている。だが、その過程を直接観察した者は未だ誰もいない。2013年ノーベル化学賞受賞者のKarplusによって、Hbアロステリック転移の動態特性が2011年に計算された。しかし、その実証は全く手つかずだ。本研究はX線1分子追跡法DXTを用いてこれを実現する。ここでのアロステリックの深層理解が、確実に多くの蛋白質動態研究に影響を及ぼすだろう。
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研究成果の概要 |
四量体ヘモグロビンHbのアロステリック現象はタンパク質科学における基本原理であり最大の未解明現象である。Hbには強いアロステリック効果があり付随して起こる大規模高次構造変化がその根幹メカニズムと考えられている。私たちはX線1分子追跡法(DXT)を用いたHbアロステリック転移の1分子動態直接観察を部分的に成功してきた。DXTは、X線を用いた独自の時分割型1分子計測法であり、Hb分子内部動態1分子計測に適用可能な唯一無二の手法である。本研究ではCO photolysisの光励起DXTに集中してデータを出した。結果としてレーザー照射後に15-30度のχ方向の回転運動を世界で初めて実測できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Hbのアロステリック効果に伴う分子内部回転運動のマイクロ秒1分子内部動態観察に成功した。世界初である。検出された予想以上にかなり複雑な分子内部構造変化の観察から、未だ根強く信じられてきた蛋白質分子アロステリーに対する単純過ぎる2状態モデルは完全に否定された。解析途中であるが、より詳細な構造変化が隠されていることも分かってきた。また、この1分子内部動態観察の成功により、他のアロステリック現象を伴うタンパク質分子も観察できることが分かった。もし最近成功している細胞を用いたDXT測定に適応すれば、より詳細なアロステリック効果を理解することができるだろう。素晴らしい研究成果である。論文化を急ぎたい。
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