研究課題/領域番号 |
20H00340
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤ノ木 享英 (梅田享英) 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10361354)
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研究分担者 |
牧野 俊晴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究チーム長 (20360258)
五十嵐 信行 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (40771100)
磯谷 順一 筑波大学, 数理物質系, 研究員 (60011756)
染谷 満 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (60783644)
松下 雄一郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (90762336)
原田 信介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究チーム長 (20392649)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2024年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2020年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | MOS界面欠陥 / ワイドギャップ半導体 / 電子スピン共鳴分光 / 第一原理計算 / 炭化ケイ素 / 窒化ガリウム / ダイヤモンド / 電流検出 / 電流検出型電子スピン共鳴 / スピン欠陥 / MOS界面 / 4H-SiC / MOSFET / BVセンター / PbCセンター / 炭素ダングリングボンド / 電子スピン共鳴 / IV族系半導体 / GaN |
研究開始時の研究の概要 |
次世代パワーエレクトロニクスのキーデバイスとなるワイドギャップ半導体MOS(金属-酸化膜-半導体)型電界効果トランジスタ(MOSFET)について、その核心部となるMOS界面の界面欠陥の正体を解明する。ターゲットは炭化ケイ素4H-SiC、窒化ガリウムGaN、ダイヤモンドの代表的な3種類のMOS界面とし、正体を解明する手段として電流検出型電子スピン共鳴(EDMR)分光+第一原理計算を用いる。本研究により、長い間、正体不明のままだったワイドギャップ半導体MOS界面欠陥の横断的解明が期待できる。これは日本が強みをもつ半導体パワーエレクトロニクス分野をさらに強化し発展させることにつながる。
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研究実績の概要 |
昨年度に手配したスピン励起源(アンリツ製20GHzシグナルジェネレーター)を用いて、電流検出電子スピン共鳴分光(EDMR)装置の再立上げを行った。その結果、無事、EDMRの再起動に成功した。分光装置の性能チェックを兼ねて、SiC-MOSFETの主要界面欠陥「PbCセンター(界面炭素ダングリングボンド)」のEDMR信号を再観察し、微弱な13C核スピン超微細分裂信号を十分なS/N比で検出できることを確認した。 さらに、PbCのEDMR信号のMOSゲート電圧依存性を詳細に計測した。その結果、PbCセンターの2つの準位(荷電状態が+1→0、0→-1に変化する準位)がそれぞれEv+0.6eV、Ev+1.2eVと決定され(Evは価電子帯端)、2電子占有によるエネルギー上昇(実効相関エネルギー)が0.6eVと求められた。このようなデータはSi/SiO2のPbセンター(界面Siダングリングボンド)で1980年代に唯一得られている。ワイドギャップ半導体で同様のデータを初めて求めることができた。 このエネルギー準位を東工大グループの定量性の高い第一原理計算(HSE06汎関数計算)で再現できるかを検証してみたところ、(0/-)準位はEv+1.2eVで非常に良く一致した。しかし(+/0)準位はEv+0.0eV付近と実験値と大きく食い違うことが分かった。つまり界面準位の定量的なエネルギー準位計算には新しいアルゴリズムが必要であることが判明した。本研究のPbCセンターの準位はアルゴリズム開発にとって重要なテストピースとなり得るものである。 本年度は、ダイヤモンドMOSFET、GaN-MOSFETについても各研究機関と綿密な打ち合わせをしてEDMR専用試料の準備に取り組んだ。SiC-MOSFETでもpチャネルMOSFETの作製に取り組み、第1弾TEG試料が完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主力武器となるEDMR分光装置が、前年度に手配された実験機器を用いてようやく再稼働したため「やや遅れている」と認識している。
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今後の研究の推進方策 |
主力武器となるEDMR分光装置が立ち上がったので、今後は、評価を予定していたMOS界面(面方位を変えた4H-SiC MOS界面、GaN-MOS界面、ダイヤモンドMOS界面)への適用に注力していく。 さらに次年度は、EDMR分光の可能性をさらに増強するために、MOS界面準位のCharge Pumping(CP)評価法とEDMRとを組み合わせたSpin Dependent CP(SDCP)技術の立上げに予算を投じる予定である。SDCPで界面準位でのキャリア再結合を積極的に促すことで、EDMRの検出範囲を広げることができるのではないかと期待している。 準備が完了したpチャネル4H-SiC MOSFETは、これまで観測例が全くなかった伝導帯側の界面準位の検出のために用意したものである(今までは全てnチャネルMOSFETをEDMR評価してきた。その結果、検出された界面欠陥は全て価電子帯側の界面準位に相当していた)。これを使って、ワイドギャップ半導体の伝導帯側界面準位のEDMR評価に取り組む予定である。
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