研究課題/領域番号 |
20H00342
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 修司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00228446)
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研究分担者 |
秋山 了太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40633962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
46,150千円 (直接経費: 35,500千円、間接経費: 10,650千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2021年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2020年度: 26,520千円 (直接経費: 20,400千円、間接経費: 6,120千円)
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キーワード | 非相反伝導 / トポロジカル絶縁体 / ラシュバ効果 / スピン流 / スピン運動量ロッキング / フォトガルバニック効果 / 超伝導 / スピン・運動量ロッキング / スピン運動ロッキング |
研究開始時の研究の概要 |
結晶表面や界面のように空間反転対称性が破れた系や、磁性秩序によって時間反対称性が破れた系では、電流やスピン流が一方向には流れ易く反対方向には流れにくいという非相反伝導現象が起きる。そのメカニズムは、強いスピン軌道相互作用に起因する新しい量子機構であり、基礎物理と応用の両面から興味深い。本研究では、トポロジカル絶縁体表面やラシュバ表面系において、特にそのエッジ(端)での伝導に注目して2つの方法で非相反伝導の研究を行う。(1) 円偏光励起の光電流、および(2) 磁性トポロジカル表面のカイラルエッジ状態での非相反伝導を、当研究室独自の4探針STMプローバで直接検出し、高効率非相反伝導の実現を目指す。
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研究成果の概要 |
スピン軌道相互作用の強い物質系で見られるスピン分裂した表面電子状態およびスピン・運動量ロッキング現象を利用して、円偏光照射によってスピン選択的光励起を起こして非相反スピン偏極光電流を生成することに成功した。また、磁気秩序を導入したトポロジカル絶縁体薄膜において、カイラルスピン構造をもつディラック錘型表面電子状態を反映したトポロジカル異常ホール効果の観測にも成功し、量子異常ホール効果の実現に近づいた。また、それらの磁性トポロジカル絶縁体およびその多層ヘテロ構造やトポロジカル超伝導の候補となる超伝導/トポロジカル(結晶)絶縁体ヘテロ接合構造の薄膜結晶成長に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究のテーマである非相反伝導は、純粋な量子力学的な現象ではなく、ある意味で古典性が付与されることによって引き起こされる現象であり、学術的にも大変興味深く、とくにその実験的研究としては例の少ない研究であるので貴重な例となっている。また、非相反伝導は、電子部品の代表格であるダイオードに見られるように、電子デバイス等への応用上、大変有用な現象でもある。さらに、ダイオードとは違った物理的メカニズムに依っているため、エネルギー散逸の極めて少ない省エネルギー効果が期待できるので、社会的意義も大変大きいテーマである。本研究での実験的観測によって、その端緒が開かれたと考えている。
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