研究課題
基盤研究(A)
生きた真核細胞の表面で直接タンパク質のナノ動態を分子分解能観察できるAFM技術を開発する。さらに、それを分子レベルのがん研究に応用し、開発した技術が生命科学における重要な課題の解決に役立つことを実証する。具体的には、薬剤耐性を獲得したヒト肺腺癌細胞(PC-9)の表面において、過剰発現したMETの集合状態を直接観察し、薬剤耐性獲得に至る分子機構を解明する。
本研究では、生きた細胞の表面における分子スケールの原子間力顕微鏡(AFM)観察を実現し、その技術を用いてがんの悪性化に関係する受容体であるMET分子の集合状態を直接観察して明らかにすることを目標としている。これまでに、数μmの穴がアレイ状に配置された厚さ数百nmのマイクロポーラスメンブレン(MPM)上に細胞を培養し、穴に露出した細胞の基底面をAFM観察することで、約10 nmの分解能で表面構造観察が可能であることを示してきた。また、この技術を用いて化学固定が細胞表面構造にもたらす影響も明らかにした(Commun. Biol. 2022)。一方、MET分子をノックアウト(KO)したCHO/KO細胞と、その細胞にMET分子をノックインして過剰発現させたCHO/KI細胞を準備し、それらを無血清培養することで安定に表面構造観察できることを見出した。本年度は、AFMの走査範囲を制限することで、より再現性良く分子スケール観察できる技術を確立した。また、カンチレバーの振動振幅や位相の探針-試料間距離依存性(フォースカーブ)を異なる振動振幅や速度で取得し、高分解能観察に適した条件を検討した。一方、CHO/KOおよびCHO/KI細胞の表面構造を比較し、後者の細胞表面には微絨毛がより多く存在すること、および、それがMET阻害剤により減少することを明らかにした。これは、活性なMET分子の存在により微絨毛の形成が促進され、細胞の遊走性、浸潤性が増すことを示唆しており、がんの悪性化機構に関わる新たな知見が得られた。これらの結果から、MET分子が結合する成長因子であるHGF分子を溶液に加えた場合、微絨毛が増すことが予想されるため、今後はそれを示すデータを取得して、それらの結果をまとめて論文として公表する予定である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 11件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (36件) (うち国際学会 19件、 招待講演 20件) 備考 (5件)
Small
巻: 20 号: 25 ページ: 2400653-2400653
10.1002/smll.202400653
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 63 号: 1 ページ: 010801-010801
10.35848/1347-4065/acf721
STAR Protocols
巻: 4 号: 3 ページ: 102468-102468
10.1016/j.xpro.2023.102468
Life Science Alliance
巻: 6 号: 1 ページ: e202201469-e202201469
10.26508/lsa.202201469
Science Advances
巻: 8 号: 41
10.1126/sciadv.abq0160
Small Methods
巻: 6 号: 9 ページ: 2200320-2200320
10.1002/smtd.202200320
The Journal of Physical Chemistry Letters
巻: 13 号: 23 ページ: 5365-5371
10.1021/acs.jpclett.2c01093
Phytopathology
巻: - 号: 7 ページ: 000-000
10.1094/phyto-09-21-0397-r
Communications Biology
巻: 5 号: 1 ページ: 487-487
10.1038/s42003-022-03437-2
Nanoscale
巻: 13 号: 13 ページ: 6661-6677
10.1039/d0nr09178b
Scientific Reports
巻: 11 号: 1 ページ: 7756-7756
10.1038/s41598-021-87319-3
巻: 7 号: 52
10.1126/sciadv.abj4990
巻: 10 号: 1 ページ: 17436-17436
10.1038/s41598-020-74433-x
巻: 12 号: 24 ページ: 12856-12868
10.1039/d0nr02043e
巻: 10 号: 1 ページ: 9133-9133
10.1038/s41598-020-65980-4
Microscopy
巻: 69 号: 6 ページ: 340-349
10.1093/jmicro/dfaa045
Biochemical Society Transactions
巻: 48 号: 4 ページ: 1675-1682
10.1042/bst20200155
https://fukuma.w3.kanazawa-u.ac.jp/
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/
http://fukuma.w3.kanazawa-u.ac.jp/