研究課題/領域番号 |
20H00346
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹中 康司 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60283454)
|
研究分担者 |
松野 丈夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (00443028)
片山 尚幸 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50623758)
鈴木 博之 東京大学, 物性研究所, 高度学術専門職員 (60354370)
今中 康貴 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 副部門長 (70354371)
横山 泰範 函館工業高等専門学校, 一般系, 准教授 (80402486)
岡本 佳比古 東京大学, 物性研究所, 教授 (90435636)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
45,760千円 (直接経費: 35,200千円、間接経費: 10,560千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2021年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2020年度: 21,970千円 (直接経費: 16,900千円、間接経費: 5,070千円)
|
キーワード | 価数揺動 / 金属絶縁体転移 / 電場誘起転移 / 硫化サマリウム / 電子構造 / 価数転移 / 光反射率 / 体積機能 / アクチュエータ |
研究開始時の研究の概要 |
一硫化サマリウムSmSの価数揺動に起因する4f電子数と体積の相関を、徹底的な組成の制御とFermi準位付近の電子構造やSmの価数状態の評価により解明し、革新的なアクチュエータ材料を創製する。SmSは(4f)6と(4f)5(5d)1、2つの電子配置が拮抗しており、後者は格子体積が9%小さい。前者は絶縁体で7F0の非磁性状態、後者は金属的で6H5/2の磁性状態であるため、電場や磁場により絶縁体-金属転移を誘起できれば、体積を制御できる。これを活用し、ピエゾ材料や磁歪材料のような従来の「歪駆動アクチュエータ」材料の欠点を克服しうる、新しい「体積変化駆動アクチュエータ」材料を創製する。
|
研究実績の概要 |
(1)前年度に構築したI-V測定と同時にキャパシタンス・ブリッジによる歪計測を行うことができる測定系を用いて、SmSにおいて電場誘起による絶縁体-金属転移にともない体積変化が現れるかの検証を行った。その結果、室温では電気抵抗率が低いために、十分な電場が印加できず、電場誘起で絶縁体-金属転移は確認できなかったが、液体窒素中では転移が確認できた。しかしながら、体積変化は確認できなかった。 (2)電場誘起絶縁体-金属転移にともなって電子状態がどのように変化するかを調べるために、電場印加状態で光反射率を測定することを試みた。まず、今年度導入した顕微鏡用冷却加熱ステージを用いて、SmSに電場で絶縁体-金属転移を誘起できるか検討したところ、この加熱ステージでは冷却力が足りず、転移を確認できなかった。そこで、SmSより電気抵抗率が高くなるSm1-xCaxSの単結晶を新たに作製した。電気抵抗率や無電場での赤外-紫外反射率の評価を行い、良質な単結晶ができていることを確認した。この試料を用いた実験は翌年度に行う計画である。 (3)SmSのSmサイトへの元素置換が電子状態に与える効果を検証するため、前年度のYやCe置換体に加え、NdやCa置換体の単結晶を作製し、反射率を測定した。その結果、Nd置換体では価数転移が確認でき、Ca置換体では確認できなかった。置換量をx=0.2に固定してY、Ce、Ndの効果の違いについて、定量的な分析を進めている。 (4)今年度新たに作製した、Nd、Ca置換単結晶について、磁場下での電気抵抗率測定を含む予備的な評価を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症による影響で、所属機関ならびに共同研究先機関での活動制限があり、出張をともなう実験、特に東京大学物性研究所での結晶育成や物質・材料研究機構での磁場下物性評価、反射分光実験に遅延が生じた。そのため、やや遅れ気味であったが、今年度事業を延長することで、その分の遅れはほぼ解消できると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
翌年度は新型コロナウィルス感染症による行動制限はなくなる見込みであり、研究が計画通りに実施されると考える。
|